氷川透さんの「密室ロジック」を読んでみた 感想
今回紹介するのは氷川透さんの「密室ロジック」です。「真っ黒な夜明け」で登場した女性バンドメンバーが再登場。またしても事件(密室)に巻き込まれただと。そんな時は彼を頼ろう、助けを求められた氷川のロジックが光り輝くミステリー誕生!
密室ロジック
今回の事件に巻き込まれたのは学生時代氷川と共にバンドを組んでいた女性メンバー詩緒里と冴子だ。
▼数年前に起きた連続殺人事件(真っ黒な夜明け)
学生時代のバンドメンバーで飲み会をした帰り、駅内で殺人事件が発生。仲間たちが容疑者となり、お互い疑いあっていただろう疑心暗鬼の中、氷川があのような形で終わらせた事件だ。
さて、今作の彼女たちの視点で語られる密室に移っていこう。
音楽系出版社で働いている詩緒里が外出先から直帰する最中に飲み会グループとすれ違った。その中の一人に声をかけられ確認してみると冴子だった。この後暇なら合流しない、おごりでいいからとの言葉にお酒好きの詩緒里はついていくことにした。
このグループの面々は冴子が勤務している会社の取引先の人たちだった。途中参加の詩緒里も随分酔っ払ったし楽しんでいた。
大いに盛り上がった飲み会、後日同じメンバーで飲もうとお開きになった。そして今日冴子から連絡をもらい第二回飲み会が開催される予定だ。彼女と合流して取引先の会社へと向かうことになる。
さて、取引先の会社ではトラブルが発生していた。急遽飲み会の開始時間を遅らせることが伝えられて、すでに到着していた二人は待合室で待機することになる。待合室として設けられた第二会議室は人の出入りが激しくなっていた。視点移動の移り変わりも同じく忙しい。それだけ重要なことが描かれているのだろう。絡み合う人間関係や思惑が渦巻く中、響き渡った悲鳴により事件の幕があがる。
警察から解放された後、学生時代に戻ったように詩緒里宅で飲むことにした二人。
被害者が発見された第二会議室の状況を整理してみると犯行後の脱出経路に難があった。殺される前後、被害者はひとりだった。
脱出経路はA地点、B地点、C地点(図あり)のいずれかだと思われるが、それぞれ障害があることが判明した。
論理的に作られた密室に犯人はいったいどこに消えたのか。
ひとつひとつ可能性をつぶしていくが最終的に矛盾にぶつかってしまう。彼女たちではここらが精一杯。あとはあの男に頼るしかない。
時刻は午前二時。電話をかけるには非常識な時間帯だが彼なら気にしないだろう。
彼の役目は安楽椅子探偵。
お酒と謎に誘われて美女二人が待つ部屋へと誘われる。
感想/まとめ
安心安定の面白さでした。
その夜に手に入った情報だけを組み合わせて納得できる一つの回答を披露した説はさすがですね。
事件発生時の詩緒里の初動と論理的と言う語り方、氷川さんそっくり。
くせのある文、くどいような語り口調に苦手な方もいるかもしれませんが、僕は気に入っていますね。
今作の主要人物詩緒里と冴子。それぞれが相手のことをどのように思っているのか語られるシーンが目立ち、変な意味ではなく純粋に特別な存在なのでしょうね。
氷川さんの美女二人の評に笑ってしまう。
あれだけ飲んだのに?こいつら、ばけもんかよ
二人のイニシャルS、H。あの名探偵のことか。
結局冴子さんの不倫関係は事件に関係なかったのか?