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氷川透さんの「密室は眠れないパズル」を読んでみた 感想

今回紹介するのは氷川透さんの「密室は眠れないパズル」です。氷川シリーズです。今度の謎は密室だ。氷川のロジック論が冴えわたる。

 密室は眠れないパズル

氷川透は、出版社で打ち合わせの最中だった。いつの間にか数時間が経っており時刻は夜10時をまわろうとしていた。職場なのに構わずデスクから取り出したお酒で担当の編集者と共にミステリー論で語り合っていた。そこにアルバイトの学生や営業部の人が加わり会議室は小さな居酒屋の一角になっていた。

いつの間にかこれまた時間が経ち終電間際になってお開きになるかと思いきや、タクシーで送るからまだこれからだろうの甘い誘惑な言葉に乗せられお酒好きの氷川はアルバイトの学生と共に残ることにした。

一方女性たちも別の階に遅くまで残って仕事中の居残り組がいた。印刷会社の営業マンが一向に現れないのだ。12時になり、ようやく現れた彼と打ち合わせをしてようやく帰宅できることになった。

 

そして突如聞こえた悲鳴。

氷川達が駆けつけると、ついさっき別れた営業部のひとがナイフで刺されて倒れていた。まだ生きがあり、最後の力を振り絞って常務に刺されたと言い残し絶命した。飲み始めた頃少し姿を見せたあの男、、、氷川はすぐさま浮かんだ。

とにかく通報することにしたが何故か電話が通じない。いったいどうなっているんだ。

今度は女性たちの悲鳴。

帰宅しようとエレベーターに乗り込もうとしたなかで発見した異変、床や壁に飛び散った現場は血の海だった。

一目散に駆けつけた氷川が目にしたのは、犯人として名前の挙がっていた常務の変わり果てた姿だった。

 

整理してみるとエレベーターの前で刺された営業部の男性は、常務に刺されたと言い残して絶命した。犯人を乗せたエレベーターが上昇して最上階へ向かうところを目撃した人物がいる。やがて最上階から下降したエレベーターは5階に止まり、扉が開いた。待っていた女性たちの前に背中を刺されて息絶えた常務の姿が現れた。

電話は通じないし裏口も封鎖されていた。外部との連絡が不可、脱出も阻まれる展開がまさしく嵐の山荘だと浮かんだ。

常務は犯人ではないのか。内部犯なのか外部犯なのか。

この夜ビルの残っていた人は8人。

 

進行役を奪われて探偵役のポジションが与えられないまま落ち込む氷川。

ビルを捜索すると幾つかの密室が存在していた。

出鼻をくじかれた氷川だが、犯人と指名された気になりつつある女性を救うために導き出した推理とは。

彼が指名した8人のなかの一人とは誰か?

 

感想/まとめ

面白かった。今回も読者への挑戦状あり。

名探偵の推理から転倒した真相の流れは痺れましたね。

 

本格推理の必要条件で語っていた受験生の発想というのが面白い。

フーダニットは正解が限られた選択肢の中に正解がある。

ハウダニットは選択肢ではなく無限の可能性の中から見つける。

それが試験問題の選択式と記述式に置き換えてみると当てはまってなるほどと感心しましたよ。

オチのハウダニットを真剣に考える読者も少ないでなるほどその通りだ。僕も探偵さんに任せてしまうタイプだ。

 

守衛さんに対する氷川さんの手のひら返しが最高。

たった数行で評価を一変するシーンは笑ってしまった。

 

エピローグにもちゃっかりオチがありほんと氷川シリーズ最高です。