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東野圭吾さんの「カッコウの卵は誰のもの」を読んでみた ネタバレあり/感想

今回紹介するのは東野圭吾さんの「カッコウの卵は誰のもの」です。才能の遺伝子は受け継がれるのか?スポーツ×科学の長編ミステリー!

 カッコウの卵は誰のもの

スキーの元オリンピック選手の緋田宏昌は、新世開発スポーツ科学研究所の柚木洋輔から父娘で遺伝子研究に協力してくれないかと頼まれた。娘の風美は父と同じようにスキーの道へ進み、日本代表選手として期待される一人にまで成長していた。柚木が言うには彼女は日本人には少ないFパターンの遺伝子を持っていた。視覚情報処理とボディバランスに優れており、瞬間的な状況判断の対応力も併せ持っていると研究資料をもとに興奮気味で説明したが、協力に関して緋田の答えはノーだった。

実は娘の風美の誕生には、誰にも言えないある秘密が隠されていたのだ。

 

19年前にさかのぼる。ヨーロッパに遠征中だった緋田に赤ちゃんが生まれたと妻・智代から知らせがに入った。この出来事を一区切りと現役生活にピリオドを打ち、これから三人で過ごす幸せな時間が待っているはずだった。しかし、風美が二歳のとき智代は自宅のマンションから飛び降り自殺してしまった。育児ノイローゼとして処理されたが、納得できずに釈然としないまま時間だけが過ぎて行った。その後風美はすくすく成長して地元スキー関係者では名が知れ渡るようになっていた。中学生に入るのを機に本格的に練習するため引っ越しの準備を進めていた緋田は智代の荷物から生まれたばかりの女の子の赤ちゃんが連れ去られたとの新聞記事を発見した。風美と誕生日が近く不審に思った緋田は調べてみると、病院に智代が出産した記録は残っていなかった。

 

Bパターン遺伝子を持つ高校一年生の鳥越伸吾も注目選手の一人だ。体内で効率的にエネルギー変換ができるために筋持久力や心肺能力が高いのが特徴である。彼はクロスカントリーの選手としてスカウトされたのだ。

伸吾は高校生になったらギターをやるつもりでいた。しかし、新世開発スポーツの柚木たちがやってきてクロスカントリーの道へ方向転換したのだ。無職の父親に仕事を提供する、家賃や学費など金銭面の面倒も全て保障しますと鳥越家にとっては破格の条件を提示されたからだ。その条件を呑み、高校に通いながら新世開発スキークラブでトレーニングをする生活を送っていた。

 

ある日、新世開発スキー部宛てに緋田風美をメンバーから外せと脅迫状が届いた。そんなとき風美が乗るはずだったバスが事故を起こしてしまう。忘れ物を取りにいっていた風美は難を逃れたが、直前まで大ファンですと話していた上条伸行という男性が巻き込まれて意識不明の重体で病院に運び込まれた。

その上条伸行は、風美の父親らしき人物で緋田にも接触していた。風美にDNA鑑定をしてほしいと願い出た。少し時間を下さいと一旦保留にしてもらったが、その後に彼の息子が白血病で骨髄移植を望んでおり、風美が骨髄提供者として一致することに一縷の望みをかけていたと推測した。人の命のためならと罪を告白するつもりでいたが、上条の妻から聞いた血液型では風美は生まれない。

では、母親はいったい誰なんだ。

 

Fパターンの遺伝子が母親から受け継いだことがわかり柚木は落胆した。しかし、智代が写った一枚の写真から友人である畑中弘恵に辿りつき、風美とそっくりの容姿をしていたので驚いた。そのことを知った緋田は風美の父親は上条伸行、母親は畑中弘恵で間違いないと確信した。

 

物語は急展開を迎える。上条伸行が亡くなり、バス事故の件で犯人が出頭してきた。犯人は、鳥越伸吾の父・克哉だった。息子はホントは音楽をやりたいのに俺がだらしないせいで無理をさせていると動機を語った。何とかしなければと思っていた所に差出人不明で緋田風美を怪我させてほしいとメールが入った。これを利用するば伸吾を解放できると思い、犯行に協力したのだった。

では指示した人間は誰なのか。

それは上条伸行の息子・文也だったのだ。自殺だと遺書を残して服毒自殺をしてこの世を去ったが、緋田には本心である手紙を残していた。

「いつまでも風美さんの父親でいてください」と文で締められていた。

カッコウの雛に罪はない。

文也の手紙に甘え、これからも父親でいることを決めたのだった。

 

 

感想/まとめ

面白かった。

カッコウの雛に罪はない。この言葉が全てでしたね。

智代さんの自殺だけはもう少し掘って欲しかったですね。罪悪感に苛まれたからで、心身ともに限界だったことは想像できましたけど。

次世代の雛たちの活躍に期待しましょう。