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村山早紀さんの「星をつなぐ手-桜風堂ものがたり-」を読んでみた 感想

今回紹介するのは村山早紀さんの「星をつなぐ手-桜風堂ものがたり-」です。新天地の桜風堂で一整の第二の物語を描いた「桜風堂ものがたり」待望の続編です。

 星をつなぐ手-桜風堂ものがたり-

桜野町にある桜風堂で書店員としての第二の生活をスタートさせた月原一整。大人気シリーズの最新刊が入荷しないことが判明してピンチに陥っていた。以前の職場の銀河堂書店では、当たり前のように新刊が入っていたことが幸せだったんだと感じていた。

桜風堂書店は、田舎にある昔ながらの住民に愛されている小さな書店だ。現在の本を取り巻く状況で苦戦するなか知恵と工夫でなんとか生き延びてきたが、店主が倒れてしまい、一整に店の全てを任している状態だった。とても大切な人の大切な書店を任されたからには覚悟を持って臨まなくてはならない想いだった。

そんな一整を不安そうに見上げる店主の孫-透にも心配させないように笑顔で挨拶を済ませ、桜風堂の一員である白い鸚鵡の船長と三毛猫のアリスにも見送られて今日の配達へと出かけて行った。

 

そんなある日、銀河堂書店の店長から連絡が入る。なんでも銀河堂書店オーナーが一整に会いたいらしくお呼びがかかったのである。約束の日がやってきて久しぶりに立ち入った銀河堂書店と懐かしいか人達との再会に思わず涙がこぼれてしまう。

そして、オーナーから提案された有難すぎるお話し。桜野町に戻って、退院してきた店主に提案について説明したら喜色満面で受け入れてくれた。さらにいいことが続き、なんと入荷が危ぶまれていた人気作の作者高岡が桜風堂を訪ねて来たのだ。彼の間に入って新刊を用意してくれたおかげで無事に発売日を迎えることができる。彼もまた一整に恩があり、未来へと希望を託している一人でした。

 

 

そして、店主の夢であったサイン会を高岡が快く承諾してくれて桜風堂は実現に向けて動き出した。この頃になると元編集者の藤森やアルバイトの沢本が新たに仲間に加わり、各々の得意分野で力を発揮してもらうことで一整の悩みだった人手不足や配置問題も解消されていた。

桜野町には『星祭り』という古くから伝わるお祭りがある。日程を合わせることで住民だけでなく、帰郷する人や観光客の集客が見込める。さらに話を聞きつけた前作の『四月の魚』の作者団重彦も参加しますと逆アタックに合い、とんとん拍子で合同イベントが開催されることに決まった。

 

桜野町を桜風堂を愛する人たちが集まり、新たは風が吹き始めようとしていた。地元の人たちも巻き込んで一世一代の大イベントの中心にいる一整。彼のの存在がこの地でもいつの間にか大きくなっていた。小さな書店を任された彼が起爆剤となりみんなが一つになった。これは決して奇跡と言う言葉で片づけることは違う。奮闘した人々の努力の結晶なのでしょう。

 

そして最後に待っていたのは、幻想的で優しい世界だった。

 

感想/まとめ

面白かった。前作同様に本の厳しい立ち位置を題材としており、銀河堂書店のみんなや新たな登場人物も加わり、桜風堂を中心に一整君のその後が描かれています。前作以上に視点が移り変わり、それぞれの想いがより鮮明に伝わってきた。自分の為より他の為にと思いやる温かく優しい気持ちの人が多く、自然と微笑んでしまう。

課題は山積みですが、ひとつの町の小さな書店の在り方を示した。この本を夢物語として終えるのではなく、一つの教本として語り継がれていけばいいなと感じました。

 

本に対するマイナスな情報がどんどん入ってきて苦境という立場を肌に感じながらも何かを実行する勇気は残念ながらありません。ただの読書好きの一人として一冊でも多くブログで紹介して違った角度から応援、貢献して発信していきたい。書店で買う楽しみやワクワク感は唯一無二と言える。

 

あとがきでこの本が完結編となることが書かれていました。きれいのまま閉じることもある意味幸せなことなのかもしれないと感じますが、僕としてはもっと読みたいと思ってしまう。他の読者も声が挙がっているのを見ると待ち望んでいる人や愛されていることが、これほどいるんだと伝わってくる。

唯一つ心残りがあるとすれば一整君と苑絵ちゃんはその後どうなるか気になった。そろそろ自分の幸せを願ってもいいのではないでしょうか。でも、表紙絵を見る限り杞憂だったかもしれませんね。