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依井貴裕さんの「夜想曲 ノクターン」を読んでみた 感想

今回紹介するのは依井貴裕さんの「夜想曲 ノクターンです。同期会に集まったメンバーが一人一人と殺されてしまう。生き残ったある人物には事件をまとめて、あなたが犯人だと記した原稿が送られてきた。同期会の記憶を何故か失っており否定は困難。手がかりはこの原稿の中にあるが、、、あなたはその謎を解くことはできるのか?

 夜想曲 ノクターン

とある山荘で開かれた同期会。俳優をしている桜木は、勤め人をしていた頃の旧友たちと久しぶりの再会になるため心待ちにしていた。ところが、山荘に行って過ごしたはずの記憶がないのだ。あるのは、人を殺したかもしれないと疑惑。記憶にはないが、首を絞めた感触と生々しい映像が残っているのだ。さらにやっかいなことに、同期会で実際に殺人事件が起きていた。自分が犯人なのではとの恐怖からその後の状況を確認しないで身を隠していた。そんな時、事件の真相を記した長文原稿が届けられた。原稿の中では、桜木が犯人だと指摘しているようだ。目的や意図は不明だが、何かに引き込まれるように原稿を読み始めた桜木。その先が自身の破滅だったとしても、、、

 

原稿は第一章から第三章にかけて山荘で三日連続で起きた三つの事件を扱っている。

ただ単に事件の真相を記した原稿ではないことは、漠然とではあるが感じることはできるだろう。どこかちぐはぐな印象を受けて、鋭い人は気が付いてしまうかもしれない。それだけなく桜木にもある秘密が隠されており、二段構えになっている。この二つのトリックがこの小説の胆であり、両立して補完しながら全体像を完成させている。

 

感想/まとめ

面白かった。若干読みずらい感じはしたが、あのトリックの前では霞んでしまうくらいだ。初見時、あれっ?おかしいなと漠然と違和感を感じることはできたが、トリックまでは見抜けなかった。細かいところまで照らし合わせるのは苦労したのではないかと感心しきりでした。

入れ替えるだけで犯人が別人へと覆る構成がお見事。またひとつ小説の形を味わえたことに幸せを噛みしめて締めたいと思います。

美しさに感謝。