北川歩実さんの「僕を殺した女」を読んでみた 感想
今回紹介するのは北川歩実さんの「僕を殺した女」です。目が覚めると僕は女になっていた、、、だと。しかも五年後にタイムスリップして大混乱。新たなSFミステリーの境地をしかと味わおう!
僕を殺した女
知らない男の部屋で目を覚ました。頭が重く寝ぼけているためか記憶が曖昧だ。スッキリさせようと顔を洗った瞬間、違和感に襲われる。鏡に映っているのは知らない女の顔だったのだ。男だった僕の記憶と一致しない。なぜ、どうしてとパニック状態に陥りそうになるが、部屋の主が目を覚ましたことで何とか冷静に収めることができた。
彼は宗像と名乗った。君はと聞かれたので、記憶にある男、、、篠井有一と名乗ったら頭のおかしい奴と思われるかも知れないので、とっさに鈴木京子と名乗ることにした。
お互い記憶が飛んでいて状況確認どころの話ではないが、ひとつだけ驚愕な事実が分かった。記憶の中では、ここは僕の部屋に間違いなかった。しかし、現実はその記憶を拒否しているのだ。
日付を見てみるとなんと五年後にタイムスリップしていた。女の姿というオマケつきで。さらに、五年後のこの世界には篠井有一が存在していたのだ。
一旦整理してみる
目を覚ますと自分の体に変化が起きていた。見ず知らずの女の姿。さらに五年後の世界にいる。篠井有一が存在してる。SF小説の主人公になった気分だ。うだうだしても仕方がない。起きてしまったことを前提に、先のことを考えようと結論付けた。
僕の身に起きた原因を突き止めようとあれでもない、これでもないと推理してみるが全容が掴めない。僕は一体どうしてしまったのか。先が見えず、不安が堪る一方だ。
僕は、ほんとに「僕」なのか。その気持ちまで揺らいでしまう。
打開するためには動くしかない。
この現象の終着点と真実を求めて、僕は僕を探す旅へと出かけた。
感想/まとめ
SFミステリーとして期待して読んだのですが、う~ん僕には合わなかったですね。
記憶喪失、タイムスリップ、性転換、美容整形、健忘症、二重人格、性同一性障害、入れ替わり、双生児など次々と用語が飛び出してくる。次から次へと目まぐるしい展開に息をつく暇もないが、そのたびに僕のヘンテコ推理が邪魔をしていちいち盛り上がりをストップさせていて残念感が強い。全体的に同じようなことが繰り返していたのも気になった。
次々と明かされていく僕の真実。そうだったんだという驚愕よりも、またかよとツッコミが先に出てしまう。なんだかいたちごっこのような小説でしたね。
登場人物も弱いというか薄いというか。誰が誰だか迷ってしまう。
残念ながら僕の好みとはかけ離れていましたが、SF好きは一度読んでみてほしいですね。