氷川透さんの「人魚とミノタウロス」を読んでみた 感想
今回紹介するのは氷川透さんの「人魚とミノタウロス」です。氷川シリーズ長編です。
人魚とミノタウロス
氷川透はいまだに小説家になれてはいなかった。探偵と両立しているのがいけないのかなどと考えながら都会をあてもなく徘徊、いや散歩をして小説の構成を練ろうとしていたある日、学生時代の友人と再会した。
彼の名は生田瞬。ある病院で研修医として働いており、彼に誘われて病院へ遊びにお訪れます。巡り合わせなのかここでも事件に巻き込まれてしまう。
病院内で火災が発生したらしく黒い煙が氷川の目に入った。
とにかく生田に会いに行こうと指定された場所へと向かうと、入り口で病院の職員に止められてしまう。
そこで、出火場所が医者と患者が面談する部屋。
出火の原因が生田の肉体らしく、事実とすれば生田はこの世にいないことを意味していた。
警察から詳細の説明を受ける。
面接室で身元不明の黒焦げの焼死体が発見されたことは本当であった。しかし顔を確認できないくらい酷い状態らしく、生田が生きていることに希望を持つことができる十分な知らせだった。
氷川は持ち前の論理を武器に生きている可能性を探っていくことになるが、はたして真相は。
登場人物のキャラの個性が際立っていて面白い。
女性刑事の千歳良美とシリーズお馴染みの北沢巡査部長のやりとりが読んでいて楽しい。ヨッスィーとフーミンとお互い呼び合っていて氷川さんも衝撃を受けていた。
女子大で起きた事件(最後から二番目の真実)や地下鉄駅殺人事件(真っ暗な夜明け)を解決に導いたのがこちらにいる氷川さんだと紹介をしてしまい、推理小説のファンで名探偵に憧れをもつ彼女は全身輝かして尊敬する眼差しを送っていたのだ。
高井戸警部も氷川さんと現場で遭遇する回数に疑問を持つようになり、すべての黒幕はあの男なのかと考えるようになっていた。あれほど捜査情報漏らしといて、本当だったらヤバイでしょうにね。
メタ的にはもっと上の世界の人たちもいますので大丈夫ですよと言葉を送りたい(名探偵コナンなど)
そして氷川さんの友人、生田さん。高校時代の僕には一生縁のない会話のやりとりからのエピローグで明かされる真実、いちばんたいせつな友達だ。この一文に凝縮されていた想いにもらい泣きしそうになった。
感想/まとめ
氷川作品のの特徴である緻密に練られた構成と完璧に固められたロジックは今回も健在で一貫してぶれないのがすごいですよね。
制服に弱いか、、、なるほど。これも男の性なのか。