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伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んでみた 感想

今回紹介するのは伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカーです。ミステリー小説のおススメで高確率で名前が挙がる今作。一緒に本屋を襲わないか?たった一冊の広辞苑からどんな物語が構築されていくか楽しみですね。

 アヒルと鴨のコインロッカー

現在と2年前の物語が交互に進められる。

 

現在

大学進学のため仙台へ引っ越してきた僕こと椎名。アパートで段ボールの片づけしながらボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいたところ住人に聞かれていた。彼は、河崎と名乗り部屋に誘われた。そこでやりたいことがあり手伝ってくれる人を探していたと聞かされる。同じアパートに住む外国人の為に辞書をプレゼントしたい、ただの辞書ではなくて、分厚く、立派な広辞苑。というわけで一緒に本屋を襲わないかと誘われた。

こうして僕は、物語に巻き込まれるのであった。

 

2年前

留学生ドルジ、その恋人琴美、神出鬼没の河崎、ペットショップの麗子を軸に物語は進む。世間を騒がしているペット殺しに目を付けられたドルジと琴美。逃げる際に落としたパスケースから住所がバレ、留守番電話に強迫めいた声明を残してきた襲撃犯のメンバー。いつ襲われるか不安の中、痺れを切らせて、自分らで捕まえようと彼らが屯っているファーストフードへと向かう。

そこで対峙した時に何が起きたのか。

是非読んでみてください。

 

感想/まとめ

うん。面白かった。一緒に本屋を襲わないか?たった一冊の広辞苑から物語が始まった椎名が語り手の現在編。ペット殺しを軸にドルジ、琴美、河崎の生活を描いた琴美が語り手の過去編。

カットバック、この言葉は、我孫子武丸さんの「探偵映画」で覚えたな~

 

中盤以降から2つの物語のつながりのが加速していき、どんでん返し系の小説ですが終盤までにはある程度真相がわかってしまいますので余韻を楽しみながらラストを迎えますね。

 

過去の言語や行動が分かりやすく現在に反映され丁寧さが見受けられる。あちこちに伏線が散りばめられていてそれが回収されるたびになるほど、納得してしまう。本屋を襲った彼の心境を考えると切ないですね。

 

彼らの物語に途中参加という形で巻き込まれた椎名。

事情がわからないから共感や同情ができないとの言葉と共に申し訳ないとごめんなさいと謝る姿勢から分かるように巻き込まれたのが彼で良かったと思えてしまう。

椎名の父親から仕送りのお金は必死で稼いだ金だから気にせず使えに対してよけいに気になるとの返し、ツッコミも切れてるね。

 

ヒルと鴨とコインロッカーの由来にも納得です。

 

ドラマの方も原作組から評判が良いと聞きましたのでいつか観たいですね。伊坂さんの作品として是非お勧めしたい小説でした。