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道尾秀介さんの「カラスの親指」を読んでみた 感想

今回紹介するのは道尾秀介さんの「カラスの親指です。わけあり詐欺師である中年男性二人がひょんなことから助けた姉妹とその彼氏の5人で共同生活することになる。それでも過去からは逃げられない。各々の未来のため壮絶な計画を立てた。騙すか、騙されるか、あなたどっちだ!

 カラスの親指

タケさんこと竹沢竹夫は詐欺師だ。サラリーマン時代は、妻と娘の三人で幸せに暮らしていた。妻が病気で亡くなり娘と二人で暮らし始めて数年経った。ある日ストレスや不安から解放されたい気持ちがあり、同僚に誘われギャンブルに行き、そこで多額の借金を抱えてしまったのだ。

ヒグチという男が現れた。金を返せなく仕方がなく取り立ての仕事を手伝うことになる。娘と二人穏やかな生活のためとにかく働いた。それでも限界が来て担当を命じられた母子家庭の母親を自殺に追い込んでしまい遂に目が覚める。

事務所から重要書類を持ち出し警察に駆け込んだ。ヒグチは逮捕されたが、反感を買い自宅を放火され中にいた娘が死んでしまった。

それから数年後、テツこと入川鉄巳と出会う。器用さを活かした詐欺でタケ騙そうとしたが見破られ、何故か一緒に行動することになる。テツも奥さんを亡くした過去がある。

 

現在と過去回想が挟まれタケとテツの置かれた状況を説明してくれる、ココまで。

p38テツと奥さんの出会いのシーンを竹沢に説明中

「ドアの解錠が終わって、やっと彼女が中に入れるようになったとき――自分、思い切って話しかけたんです。生まれて初めて、女の人に話しかけたんです」

「何て?」

「お住まいはどちらなんですかって」

馬鹿である。自宅のドアを解錠しておいて、お住まいはどちらも何もない。

爆笑してしまった。この後も二人の会話で面白いシーンが出てくるのでチェックしましょう。

 

二階建ての借家を新たな本拠地として活動を開始する。上野で仕事をした後、少女がスリ行う現場を目撃してしまい、助けてしまう。少女、河合まひろは、家賃が払えず追い出されそうと聞かされた竹沢は困ったら家へ来いと提案した。

翌週、ほんとに家に来たまひろを皮切りに、まひろの姉である河合やひろ、その彼氏石屋貫太郎、子猫のトサカが加わり、5人と一匹の共同生活が始まった。

しばらく平和で過ごしていましたが、不審な車、ボヤ騒ぎ、そしてトサカの無残な姿で見つかるなど続けさまに何者かの圧力がかかる。

竹沢、テツ、まひろ、やひろは同じ組織に恨みを抱いていたことが分かった。ひとまずボス的存在のヒグチにターゲットに設定して復讐を企てる。

あらすじはここまで、最後のあの結末に皆騙される。

 

 

p143メールでの一コマ

<ほんとに感謝しています。助けてくれて嬉しかったです>

 まひろからのメールだと勘違いした竹沢の姿が何とも言えないですね。

 

感想/まとめ

竹沢とテツとの会話がとても楽しく久しぶりに笑える小説に出会いました。最後のどんでん返しも見事で、もちろん騙されました。過去を清算し、人生をやり直す計画を実行したあの人にあっぱれです。

 

p187貫太郎の言葉

「あのですね、理想的な詐欺はですね。相手が騙されたことに気づかない詐欺なんですよ。それが完璧な詐欺なんです。でも、それと同じことがマジックにも言えるかといううと、これが違う。まったくの反対なのです。マジックでは、相手が騙されたことを自覚できなければ意味がないのですよ」

面白いし、上手い例だと思った。それなのに

p255猛烈な便意の対処の仕方があほらしくてギャップに唖然。

貫太郎裏切らないで良かった。少し敵なのではと疑っていたんです。

 

 

アルバトロス計画これを聞いてこちらを思い出しました。確かこちらも、アナグラム、回文がありましたよね。アルバトロス=アホウドリ

lbookneet.hatenablog.com

 

竹沢はまひろ達に真実を話すのか、話さないのか。気になりますね。