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七海学園シリーズ 七河迦南さんの「アルバトロスは羽ばたかない」

今回紹介するのは七河迦南さんの「アルバトロスは羽ばたかない」です。児童養護施設「七海学園」を舞台としたミステリー。七つの海を照らす星の続編です。前作を読んでからこちらを楽しんでくださいね。ある仕掛けがより一層輝きますから。

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 アルバトロスは羽ばたかない

登場人物

  • 北沢春菜ーー二五歳。職業保育士
  • 野中佳音ーー春菜の大学時代の親友。四月から学習ボランティアとして参加している
  • 高村駆ーー春菜の学生時代の友人
  • 小泉ときこーー四月から新採用。ほっそりとした和風の顔立ち、楚々として生真面目な性格
  • 一之瀬界ーー小学六年生
  • 茜ーー小学六年生。しっかり者で頼りになる性格
  • 安藤藍ーー中二。あだ名がウラン。運動神経抜群。引き締った筋肉質のスレンダーな身体と短髪姿から少年めいて見える。二卵性双生児
  • 安藤勤ーー中二。あだ名がアトム。二卵性双生児
  • 樹里亜ーー可愛い容姿。都会的なセンスがある
  • エリカーー中一女子。性格のきつい所がありやや難しい子
  • 望ーーのんちゃん。五歳の女の子
  • 鷺宮瞭ーー七海西高二年生。七海学園入所児
  • 田後佐奈加ーー七海西高二年生。七海学園入所児

冬の章Ⅰ~Ⅵ

文化祭で起きた転落事故の真相を探る物語

春の章ーハナミズキの咲く頃ー

七海学園にやってきた一之瀬界も問題を抱えていた。母親と二人家族だったが住む家も失いホームレス状態で保護され、顔や体には痣があり暴力を受けていたことを窺わせていた。学園のピクニックで訪れた崖で界は「あの崖で、俺、母さんに殺されそうになった」意味深な言葉を発する。なぜ母親がそのような行為に及んだか、真相を知ると現状の難しさが浮かび上がってくる。

夏の章ー夏の少年たちー

今年はお盆明けに施設対抗サッカー大会が開かれる。城青学園のサッカーチームはかっこいい子が多くファンクラブも存在している。ファン同士の仲が悪くケンカの噂も出ている。何かとんでもないことが起こらなければいいのだけれどと心配していたが春菜だが、予想は的中し起きてしまう。

初秋の章ーシルバーー

夏休みの終わりに入所してきた新顔の樹里亜が大切にしていた寄せ書きがなくなってしまった。犯人はエリカ。彼女自身も認めている。樹里亜に嫉妬していたから盗んだという結論に落ち着くが春菜は納得しない。もやもやした気持ちで静養中の瞭を訪ねると思いもよらない言葉が返ってきた。「わたしに答えてほしいなら、あなたもわたしの問題に答えてよ」

晩秋の章ーそれは光より速くー

望の父親は事件を起こし逮捕されていた。色々問題のある父親で刑務所にいる間も何かと注文を出し職員を困らせていた。そんな中最近出所した連絡が入る。望を取り戻しにくることが予想されるため注意する春菜。そしてある夜、大男が「うちの子どもに合わせてもらおうか」と訪ねてきた。

感想/まとめ

 児童養護施設「七海学園」を舞台とした学園ミステリー。七つの海を照らす星の続編です。

文化祭で起きた転落事故の真相を探る、物語の本筋冬の章Ⅰ~Ⅵ

春の章、夏の章、初秋の章、晩秋の章、四つの章で構成されている。それぞれ章の間に転落事故の真相を探る冬の章が挟まれる構成が絶妙で、関係ないと思われたそれぞれ季節の出来事もあのような形でつながるとは見事です。

転落事故の真相が明らかになった瞬間は驚きましたが、それ以上にもうひとつの方の仕掛けにやられました。先入観は怖いですね。

見直すと正直おかしいと思われる場面もありました。それでも章と章を挟む構成によって不自然さをなくす手法。まさしく「木の葉は森に隠す」ですね。

 

タイトルの由来を知った時は涙がでそうになりました。

アルバトロスといえば真っ先に浮かんできたのがゴルフ用語。どうつながるのか興味津々でしたがまさかのアホウドリ。ちなみにコロニーは新世界よりをイメージしてた。

 

今回も登場人物の多さには参りました。一応メモを残しておいたのですが間違っていたら申し訳ない。こればっかりは仕方がないとあきらめてます。一気読みを推奨します。

春菜ちゃんに高村くんという相手が登場しましたが佳音ちゃんにはいるのかな?彼女のファンとしては複雑な心境ですが。

  

さて、あのような形で終わりを迎えたましたがすでに続編がありますので是非読んでみてください。

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