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叙述トリックの名手 折原一さんの「グランドマンション」を読んでみた 感想

今回紹介するのは折原一さんの「グランドマンション」です。もちろん今作も連作短編集ながら叙述トリックの嵐。何が起きるかわからないドキドキ、最後まで楽しめますよ。

 グランドマンション

舞台はグランドマンション。隣人問題、騒音問題、虐待、不法侵入、年金不正受給、振り込め詐欺、火事など様々な社会問題がミステリーとしてこの一冊に詰め込まれている。

 

音の正体

騒音に敏感な沢村。上の階に住む子供の足音に我慢の限界がきて、直接乗り込みに行った。 母親らしき人が対応し、言い聞かせますと短く言い、ドアを閉めてしまった。一旦は落ち着いたものの今度は赤ん坊の泣き声。思い出す過去、離婚して今は独身だが沢村にも子供がいた。今はもういないが、、、

上の階にまた苦情を言いに行く沢村。二度目の注意。アルコールを摂取しており気持ちが高ぶっていたせいか、縁起でもないことを口にしていた。その日も、頭を下げ丁寧に謝りドアを閉める。

自室に戻り、しばらくして泣き声はしなくなっていた。

 

母親の行動をみてある程度想像した結末でした。が、ただでは終わらないのが折原ミステリー。沢村にもやっぱり秘密がありましたね。

 

304号室の女

松島有香は303号室に住んでいる。勤め先は二番館の販売事務所。一番館の住人が二番館のモデルルームに勤務している。大田原という所長と二人でやりくりしている。

その日のお客さんは若いカップル。304号室が気に入り、契約。仕事は順風満帆だが私生活の方で問題発生。カギの紛失、携帯の紛失、さらに、不審な電話まで。いったい彼女の身に何が起きようとしているのか?

 

意外な結末。大田原と松島は灯台もと暗し、自信がありませんが、ことわざの意味合ってますかね?

 

善意の第三者

28歳の久保田綾香は二ヶ月後に結婚式を挙げる。幸せいっぱいだが寝たきりの祖母が心配。

ある日、奇妙な手紙を受け取った。婚約者がホテルから知り合いの女性と出てくる写真。問い詰めると意外な返事が。

彼女に思いを寄せる高田英司は、「善意の第三者」と名乗り、彼女に手紙を送りつけた。

この二人は妙な形で繋がっていく。

 

やられました。この二人は幸せになれるのかな。

 

時の穴

無職で家賃滞納中の瀬沼富男。来週までに家賃を払わないと退去しなければいけない。偶然、隣の部屋の住人が箪笥預金していると聞き、盗むことにした。天災も味方し地震の影響で成年男性が腹這いになって通ることができる隣の部屋への秘密通路も出来上がった。彼に有利な条件が傾いていたが、、、

 

盗みは駄目、しっかり働きましょう。

 

懐かしい声

105号室の多賀稲子は振り込め詐欺の被害に遭ったと塚本ハルに愚痴をこぼしていた。他の住人も被害に遭っていたことが分かり、民生委員の高田はマンション住人に注意を呼び掛けた。

塚本ハルにも不審な電話が掛かってきた。騙されたふりをして、新聞紙で作った偽札を紙袋にいれて自分の部屋のドアに掛けておいた。

マスクをした男が塚本ハルの部屋のドアノブから紙袋を持ち去る。現場を目撃した高田はこっそり後をつけた。行先は104号室。ここの住人が犯人なのか?

 

意外な犯人。見た目に騙されるな。

 

心の旅路

103号室に住む武藤留子は、ドアを開け、廊下に出て、周囲を見回すと背後から老人が現れた。身の危険を感じ、とっさに老人を殴ってしまった。老人は救急車に運ばれ病院へ。ごたごたが片付き、ドアの付近で手帳拾う。それは少女のある日記であった。

 

注目のお話し。

 

リセット

多賀稲子は目を覚ますと隣に立つマンションが消えていたのだ。住人に知らせに行くも誰一人まともに取り合ってくれない。

武藤留子の部屋に知らせに行くと、深刻な顔をしてストーカー被害に遭っていると聞き、結局その日は話すことができなかった。

多賀稲子、武藤留子二人の謎が解けた時、意外な犯人が示される。

 

確かに管理人だけどね。結局高田はそうなりましたか。

 

エピローグ

この人が一番幸せでしょうね。

 

感想/まとめ

誰ものが思うこと、、、こんなマンションには住みたくない。

後、号室や住人を覚えるのに苦労した。老人かと思いきや若者だと勘違いした人がいましたよ。逆も然りです。

 

よく考えられるな~、さすが叙述トリックの名手 折原一さんです。