あの神様が帰ってきた! 麻耶雄嵩さんの「さよなら神様」
今回紹介するのは麻耶雄嵩さんの「さよなら神様」です。前回の衝撃を受け続編があると聞きすぐさま見つけてきました。良い意味でぶっ飛んでます。
さよなら神様
主な登場人物
- 桑町淳ーー探偵団のメンバー。主人公。
- 市部始ーー探偵団の団長。勉強は出来るし頭も切れる。スポーツはそこそこでリーダーシップの持ち合わせている。ただ、お世辞にも男前とは言えない。淳の幼なじみ。
- 丸山一平ーー探偵団のメンバー。小柄で軽口を良く叩く、噂好きの男の子。
- 比土優子ーー探偵団のメンバー。自称市部の将来の恋人。霊感少女で色白の顔、眉の前でバッサリ切られた前髪と合わさってお人形見たいな女の子。
- 上林泰司ーー探偵団のメンバー。
- 新堂小夜子ーー淳の幼なじみ
- 鈴木太郎ーー神様。
神様
クラスのマドンナ新堂小夜子のリコーダーが盗まれる事件をあっさり解決したり、遠足の途中生徒たちの列にトラックが突っ込んできただろう事件を未然に防いだりと見せつけクラスのみならず、五年生の間では「神様」と呼ばれるようになっている。
あらすじ
本作は「少年探偵団と神様」「アリバイくずし」「ダムからの遠い道」「バレンタイン昔語り」「比土との対決」「さよなら、神様」全六編の短編集となっている。
「少年探偵団と神様」
「犯人は上林護だよ」美旗先生に殺人事件の容疑がかけられている中、先生に恩がある淳は迷った挙句神様である鈴木に犯人の名前を聞いてしまう。先生の名ではないことに安心したが、護はメンバーである泰司の父親であったことを教えられ戸惑いを覚える。淳は真相を導くことができるのか?
「アリバイくずし」
「犯人は丸山聖子だよ」今度はメンバーである丸山一平の母親の名前が告げられた。淳は前回の件があり鈴木には関わらないようにしていたが、里子に出した豆柴までが飼い主と一緒に殺されていしまいパニックになって鈴木に聞いてしまったのである。犯人を耳にしてしまった以上引き返すことができないと市部と淳。二人は捜査に乗り出すことに。
「ダムからの遠い道」
「犯人は美旗進だよ」鈴木の口からはっきりと先生の名前が告げられて唖然としてしまう。殺されたのは美旗先生の恋人。まじめで、やさしい先生がなぜ。しかし先生には歴としたアリバイがあるのだ。だが安心はできない。あの鈴木が告げたのだから。淳はクラスで浮きがちな自分をいつも気にかけてくれていた先生のためにも事件をたどることにする。
「バレンタイン昔語り」
「犯人は伊那古朝美だよ」今回で四回目のお告げ。しかし聞いたこともない名前だった。河合高夫を殺した犯人は?今回鈴木に投げかけた問い。前年度バレンタインデーに池で溺れて亡くなり、事故死として処理されたクラスメイト。苦い記憶がよみがえる。
伊那古朝美という名に心当たりなかったが、青天の霹靂、伊那古雄一という子が転校してきたのだ。母親の名は「朝美」。雄一のお宅にお邪魔して確かめることにするが彼女はこの町には来たことがないという。なぜなんだ?
事件は思わぬ方向へ、衝撃の真実が明かされる。
そして淳のあの秘密が明かされる。
「比土との対決」
「犯人は比土優子だよ」殺されたのは新堂小夜子。犯人は探偵団のメンバー比土優子。近い存在の名を聞き頭が真っ白になってしまう。このまま聞かなかったふりをして逃げ出すか?そんなことはありえない、殺されたのは小夜子だ。何かとお節介を焼いてくれた幼なじみ。彼女のためにも決意する。
「さよなら、神様」
鈴木が転校するという話題が挙がった日の夕方、比土の死体が発見される。摺見ヶ滝という滝壺で浮かんでいたらしく、転落死として処理される。目撃情報もあったが真相は闇の中だ。
お別れ会の日鈴木は最後に知りたかったことを教えてくれる。
「比土優子は自殺したよ」
桑町淳が〇
あれっと感じた文章
見ひらかれた市部の瞳の中に友情以上のものを認めてしまった。男の眼差しだ。
あれっと感じた所、比土が
市部君、丸山君、鈴木君、桑町さん
ここでなんとなく確信した
なあ、桑町。一緒にドライブしないか
ナンパですか。
感想
一行目に犯人が分かる衝撃。特に「バレンタイン昔語り」は設定がうまく生かされてあの結末は予測付かなかったです。
最後に鈴木がいやらしく姿を現したが幸せな淳には付け入る隙がなく最後のハートマークが印象強い。ハッピーエンドとして僕の中では終えることにしよう。
また鈴木として帰ってくることを楽しみに待っています。