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飛鳥部勝則さんの「堕天使拷問刑」を読んでみた 感想

今回紹介するのは飛鳥部勝則さんの「堕天使拷問刑」です。

堕天使拷問刑

両親を事故で亡くし、母の実家である大門家に引き取られることになった中学生の如月タクマ。ところが転校初日から思いがけない洗礼を浴びる。自己紹介をすると、いきなりナイフを投げられ、机の中からは蛇が出現。担任の注意するポイントもずれており、ここまで異常事態が続いたのにも関わらず、教室の中は騒然とすることなく、平然としていた。さらにツキモノイリという意味不明な言葉で因縁をつけられて困惑するしかなかった。

 

主な登場人物(大門家)

大門大造:タクマの祖父

大門松:タクマの祖母

如月幹子:大門家長女、タクマの母

如月達也:タクマの父

鳥新法子;大門家次女

鳥新啓太:法子の夫

鳥新康子:法子の娘、タクマのいとこ

憂羅有里:大門家三女

憂羅希明:有里の夫

憂羅充:有里の息子、タクマのいとこ

大門玲:大門家末娘、タクマの義母

 

ここまで散々な初日を迎えることになったタクマだが、隣の席の土岐不二男と仲良くなり、彼が所属しているオカルト研究部に誘われた。同じクラスの村山舞、部長の根津京香、不二男を含めた三人だけの少人数の部活で、京香に一目ぼれをしたタクマは即決で入部を決めた。

 

この地域では、難病を患った人や頭がおかしくなった人たちのことをツキモノイリと、お祓いで、憑き物を剥ぎ取ったり、剥ぎ落したりすることをツキモノハギと呼んでいた。遥か昔から大門家一族がその役割を務めており、現在の巫女は大門玲が受け継いでいた。そして、ちょうど明日は儀式が行われる日。大門家の人間としてタクマも参加するになった。

 

町民の女性の肩に出現した人面瘡。ツキモノイリとなった彼女を祓うために行われたツキモノハギは、初参加のタクマにのって目を疑うような光景であった。彼女の周りを町民が囲い、殴る蹴るの暴行を加え始めた。憑き物を落とすには、憑かれた人の肉体を痛めつけるとの大義名分の下に原型が無くなってもまだ続けられていた。それはただの暴行であり、集団リンチである。儀式をやめさせようとするタクマを医者の差賀あきらは止めに入る。君の行動は正しいが、ここではどんなに正論を吐いても無駄である。ただじっと儀式が終わるのを待つしかないとタクマをなだめる。儀式が終わると、ここから先は医者の仕事だ、必ず彼女を救ってみせるとの言葉を残し帰って行った。

 

さて学校の方で、また一悶着が起きた。町長の王渕一馬の息子・王渕一也(グレン)に呼び出されたタクマ。ツキモノイリを敵視している彼は、悪魔に取り憑かれていた大門大造に母と妹二人が殺害されたと言う。人間の所業とは考えられない殺害方法で犯人は悪魔と契約した大造に間違いない。その孫にも責任があるとの理不尽な理由で集団暴行を受けるタクマ。絶体絶命の窮地に割って入った江留美麗という女子に助けられた。江留家(祖母の麻夜と美麗)は町の決めごとや慣習に反対の立場を貫いており、魔女という噂もあった。

 

それよりも京香が家に遊びに来ることになって高揚するタクマ。特別な日になりそうな予感はある意味的中し、その夜大門玲が自室で首を切断されて殺害されてしまう。この町の習わしに沿って警察ではなく、まずは巡査の憂羅希明を呼ぶことになった。一通りの現場検証を終えた憂羅は、警察に通報しないで自然死として処理することもできると何の躊躇もなく選択肢を与えた。改めてこの町の狂い方を実感したタクマは、迷うことなく警察に通報することを選んだ。

 

そして大門玲の事件を皮切りに、タクマの周辺は慌ただしくなっていく。しきたりや慣習が根深く残る町民の一体感は、異端の存在であるタクマを追い詰めていく。

両親の死から始まり、学校でのいじめ。

ツキモノハギをはじめとした様々な体験。

王渕家の三人の首切り事件。

全身の骨が砕かれて死んだ大門大造。

80歳の誕生日を迎えた途端に姿を消した大門松。

バベルの塔を真似て設計した大門美術館。

人を食う赤い蟹女のヒトマンマ。

同級生の死と月に行きたいと語る不思議な少女・美麗。

町中の人から命を狙われるタクマの脱走劇。

そして、大崩壊。

 

感想/まとめ

面白かった。

ミステリー、ホラー、オカルト、青春と全部が味わえるお得感満載。そう書くと聞こえはいいが、そんな単純なものでもないのでお覚悟を。

それよりも犯人も坊さんもヤバいでしょ。というかまともな人間を探す方が難しいと思う。

 

不二男君のオススメモダンホラーでまとめられた量が半端ない。そして、それらのほとんどを知らない僕のポンコツ具合も半端ない。

 

ラストの締め方は単純明快で好きですね。