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市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」を読んでみた 感想

今回紹介するのは市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」です。第26回鮎川哲也賞受賞作品。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場の文字が宣伝帯に!これは読むしかないでしょう!

 ジェリーフィッシュは凍らない

▼プロローグ

レベッカという女性が死んだ。彼女に想いを寄せていた私は、死の原因を作った奴らに復讐を決意する。

 

ジェリーフィッシュ内部 1983年2月7日

フィリップ・ファイファー(技術開発部部長)

ネヴィル・クロフォード(同副部長)

クリストファー・ブライアン(同研究員)

ウィリアム・チャップマン(同研究員)

リンダ・ハミルトン(同研究員)

エドワード・マクドゥエル(派遣社員

 

航空機の歴史を変えたと評される(新技術ー真空気嚢を使用した)小型飛行船ジェリーフィッシュ。開発チームの上記六名は、最終航空試験を行っていた。

航空試験は、とくに大きなトラブルもなく最終日を迎えていた。全行程終了まで数時間。このまま何事もなく終えるかと思われたが犠牲者が出てしまう。

フィリップ・ファイファー教授が死んだ。自殺か他殺か不明。上空閉鎖空間での死体を目の前にメンバーは互いに不信感が募り始める。さらに予期せぬ出来事に追い打ちをかけるように自動航空システムが暴走、制御不能になり雪山に不時着した。

ひとまず全員の無事は確認された。しかし連絡手段は閉ざされて、雪の牢獄に閉じ込められた。大人しく救助を待つことになるが第二の犠牲者が、、、

 

▼地上 1983年2月11日

九条漣とマリア・ソールズベリーは、ジェリーフィッシュの墜落事故の通報を受け現場に急行した。先に駆け付けた捜索隊の話では全焼した機体と共に6名の遺体を発見したとのこと。

到着した漣とマリアの存在を無視し、軍が機体を持ち去ってしまった。現場検証を行う間もなかった。前途多難のスタートだったが、捜査をするうちに色々な事が分かってきた。遺体の中に明らかな他殺体が含まれている。だが内部外部どちらの犯行でも矛盾が生じて不可解な事件になる。二人は捜査に行き詰まり頭を悩ますが、レベッカという女性の死が実験に深くかかわっていることに突き止めた。

 

▼インタールード

これまでの私とレベッカとの出会いと別れを経て、復讐へ、、、

 

▼エピローグ1983年11月16日

レベッカの墓石の前で犯人とマリア、漣コンビが対峙する

 

ジェリーフィッシュ内パートとマリアと漣が捜査するパートを交互に描き、重要な幕間を取り入れた構成になっている。構成上行ったり来たりするが読みやすく頭に入ってくる。複雑ではなく絶秒に絡み合うシナリオがお見事です。

 

感想/まとめ

面白かった。

21世紀の『そして誰もいなくなった』といっても遜色ない小説だと思います。すごい新人さんが現れましたね。

 

こういうエピローグ大好き。犯人との対峙はこの雰囲気だと相場が決まっているからね。

マリアのあんた、誰?は痺れましたよ。その後の回答に放心状態。

え、そんな年齢だったの?

ラストも痛み分け見たいな感じで良かった。

 

謎を謎のままにしないで、解かれることがミステリーの醍醐味ですよね。

受賞にあたり満場一致もうなずける作品です。

 

シリーズ物らしいので次回作も是非読んでみたい。