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加賀恭一郎シリーズ東野圭吾さんの「赤い指」を読んでみた

今回紹介するのは加賀恭一郎シリーズ東野圭吾さんの「赤い指」です。シリーズ第7弾になります。今作以降も出番のある恭一郎の従弟で捜査一課の松宮脩平、看護師の金森登紀子らが初登場した。

 赤い指

加賀恭一郎の父、隆正のもとへ恭一郎の従弟である松宮脩平がお見舞いに訪ねた。叔父にあたる隆正を、実の父のように慕っていた。病室での楽しみは看護師との将棋だ。元気そうに見えるが病状が重く医者からは覚悟をしていてくださいと伝えられていた。それなのに息子の恭一郎が一切見舞いにこないことに不信感を抱いていた。

 

前原昭夫は、妻と息子、母親と暮らすごく普通のサラリーマンだ。しかし、家庭内では問題が山積。嫁姑問題、息子への接し方、母親が認知症、心が休まることができないのが現状である。

「早く帰ってきてほしい」と妻から電話がかかってきた。電話口から感じる切羽詰まった様子にただならぬ雰囲気を感じ、急いで帰宅した。

 

庭に案内され目にしたのは驚きの光景。見ず知らずの女の子の遺体が横たわっていたのだ。息子の直巴が、女の子の首を絞めたと自供した。

昭夫は警察に通報しようとしたが妻、八重子が拒否。家族を守るために公園に遺体を捨ててくることになった。

 

前原家にとって長い一日が始まった。

 

加賀親子、そして松宮脩平

松宮脩平は加賀恭一郎と組んで聞き込み捜査を開始する。久しぶりに会った二人は昼飯を食べながら近況報告。さりげなく隆正のことを知らせてみてもその話題には答えない。恭一郎の母親のことは聞いていたのでこれ以上口に出せなかった。

 

仕事一筋で家庭を疎かにした隆正。母親が失踪し、そのことが原因でぎくしゃくし始めた。隆正が松宮親子の援助をしていたのは懺悔の気持ちが多少はあったかもしれない。

 

それにしても加賀恭一郎という刑事はすごい、と松宮は改めて思い知る。一日一緒に聞き込みなどで行動しただけだが、その洞察力には舌を巻かされた。この経験が警察人生でプラスになるとも思えた。

 

事件後、報告も兼ねて病室を訪ねると来るべき時が来たと医者から説明された。病室には入らず外に見守る恭一郎。なぜ直接会わないのか聞くと、父親と約束をしていたのだ。母親は死ぬ瞬間一人だった。息子に会いたかっただろう。だから、自分も死ぬ時は一人で死ぬ。死ぬまで会いに来るなと。

 

将棋の相手は看護師ではなく恭一郎、握りしめていた駒を手に取り、一言。親父の勝ちだ。そして、この事件は閉められた。

 

感想/まとめ

今回のテーマとしては「家族」でしょう。悲しいことに現実でも起きている事件。もし自分なら、と考えさせられました。

 

恭一郎の言葉に何度も救われた。やはりかっこいい主人公だ。最後は少し泣いてしまったことは内緒です。

 

加賀親子にとってターニングポイントになるお話しでした。母親のことがくわしく語られるのは最終巻「祈りの幕が下りる時です。あと少しでこのシリーズも終わりですね。残念ですが、終わりがあってこその物語。全力で楽しみたい。