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大崎梢さんの「夏のくじら」を読んでみた

今回紹介するのは大崎梢さんの「夏のくじら」です。よさこい祭りについて知ることができる作品。大崎さんの作品は書店員が活躍するミステリー『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』シリーズのみ読んでいました。こちらも後で紹介しますね。

夏のくじら

登場人物

篤史:この春から高知大学に通う大学生

多郎:篤史の従兄弟

月島:リーダー。酒屋さん

三雲:サブリーダー

カジ:無口。ダンスリーダー

森綾乃:商店街の美容院

紺野詩織:商店街の花屋。衣装担当

あらすじ

この春から高知大学に通う篤史。東京で生まれ育った篤史にとっては、高知は遠く離れた場所であり、長い休みに祖父母の家に遊びに行く程度でした。

高知はよさこい祭りが有名である。かつて一度だけ、篤史も祭りに参加したことがある。四年前、中学三年の時だ。そこで出会った初恋の女性を探すために、その時にした約束のメダル交換をするために高知にやってきたのである。

従兄弟の多郎から町内会のよさこいチームに参加してくれと頼まれる。四年前に参加したよさこいのことで、多郎が気に病んでいたことを祖父母から教えられた篤史。多郎の強い頼みと自分に言い聞かせて打ち合わせに出かけていく。そこで女性を探すために高知に来たと知られてしまう。事情を知った月島、三雲は約束を果たせ!と強く身体を揺さぶってきた。何かを感じ取った篤史はこれを機にチームの一員となる決意をする。

踊り、衣装、楽曲、人集め、お金等すべて自分たちでやらなければならない流れに篤史を困惑していく。それでも四年前は知らなかったよさこいの奥深さを日々感じとることができるのは今ここにいるからだ。

そして迎える本番。篤史は初恋の女性には会えることが出来るのか?

感想/まとめ

高知、よさこいをテーマとした「夏のくじら」楽しんで読むことができました。よさこいについて詳しく描かれていて情熱、熱気、興奮がまるで映像のように脳裏に浮かんでくる、伝わってくる凄みがありました。

 

個性的な登場人物にスポットライトが当たるエピソードも魅力的。それぞれに参加する理由があるのもチームという感じがしますね。目的に向かって同じ時間を共有するすばらしさを改めて知ることができたのも良かった。

あらためて「夏」という言葉には不思議な力がありそうですね。

 

篤史の初恋の女性はいつ、どのように出てくるのか注目していましたが、、、満足です。ネタバレになりそうなので詳しくは書きませんが。

 

高知に行きたくなるし、よさこいを見てみたい。この本を読んだ誰もが思うことでしょう。よさこいと青春ストーリー。是非読んでみてください!

 

 本文から引用

好きというのはある種、弱みを持つことかもしれない。本気であればあるほど、傍観者との温度差ができる。涼しく笑える方には余裕が生まれ、熱くなっている方にはゆとりがなくなる。

狭く深く苦しい思いをしたあげく、あきれたように首を振られては、いたたまれないもいいところだ。誰だって傷つきたくないし、恥ずかしい思いもしたくない。みじめな思いはだくさんだ。

 この言葉は心に響きました。