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今邑彩さんの「七人の中にいる」を読んでみた 感想

今回紹介するのは今邑彩さんの「七人の中にいる」です。ペンション「春風」のオーナーのもとに脅迫状が届けられる。オーナーも関わった、二十一年前に起きた強盗殺人事件を示唆し、クリスマスイブをターゲットに指定した。犯人は招待客七人の中にいる!

 七人の中にいる

ペンション「春風」のオーナー・村上晶子とコック・中条郁夫の再婚することを知った常連客がお祝いをしようと提案し、馴染み客だけ集まってクリスマスイブにささやかな披露宴兼パーティーが開かれることになった。ところがパーティーを直前に晶子宛てに封筒が届けられた。中身は、中年男が残虐に殺害されるシーンを写した七枚の写真。晶子には被写体の男に見覚えがあった。忘れたくても、忘れられない、二十一年前の悪夢が甦ってきた。

 

▼登場人物

村上晶子:ペンション「春風」オーナー

中条郁夫:ペンション「春風」コック

村上あずさ:晶子の娘

見城美彦:招待客

佐竹治郎:招待客。元警察官

三枝良英:招待客

三枝敦子:招待客

北町浩平:招待客

影山孝:招待客

影山友子:招待客

 

まだ、晶子が十代だったクリスマスイブに強盗に押し入ったことが始まりだった。前夫・洋一との間にあずさを妊娠していたが、お金がなくて生活状況は苦境に立たされていた。途方に暮れた二人は、幼なじみの肇に相談すると葛西という医者の家に泥棒に入る計画を持ちかけられた。最初はとんでもないと拒否していたのだが、最終的にお金の為にと説得された。

 

クリスマスイブ家族そろってレストランで食事に出かけている無人の時間帯に忍び込み、金目の物を盗んでずらかる予定だった。しかし、葛西一行という少年が風邪をひいてお留守番、看病をするために居残ったお手伝いさん、心配で予定よりも早く戻ってきた葛西家の人達。ほんの些細なズレが晶子たちをコソ泥から殺人犯に変えてしまった。

 

肇が暴走して一家残虐してので、晶子も洋一も直接手は下していない。それでも写真と同封してあった紙からは強い憎悪と殺意が込められたメッセージが読み取れる。復讐犯は晶子を主犯として見てる可能性もあった。写真とメッセージの送り手の見当はついていた。葛西家唯一の生き残り、風邪をひいて留守番していた葛西一行であるだろうと。当時五歳だとすれば、今では、二十六歳の青年になっている。

 

招待客は常連さんだが、あずさが連れてきた見城美彦という小説家が一行ではないかと晶子は疑っていた。本名も字違いの笠井と名乗り、年齢も二十六歳と一致する。彼のデビュー作の描写が二十一年前の忌まわしい記憶と瓜二つな場面

 

元刑事の佐竹治郎と相談して晶子はペンション内から見城を見張り、佐竹は葛西一行のその後を追うために関係者にあたっていく。刻々と迫る復讐者の足跡の前に、ここまでノーマークだった常連客の知られざる一面が露わになっていき晶子は困惑していく。

 

いったい復讐者は誰なんだ?晶子は家族と共に無事にクリスマスイブを乗り越えることが出来るのか?

 

 

感想/まとめ

面白かった。緊迫した条件下、状況下だと例え常連でも疑いが生まれてしまう。ただ、僕みたいな鈍い人でもあの人が怪しいと予測できた。P373の年齢のとこでやっぱりと確信しましたね。

 

ただ、晶子さんがねぇ、、、ちょっと鼻につく女性でしたね。

被害者意識、加害者意識が逆転してしまった。後味もあまりよろしくない。

 

同作者さんの「いつもの朝に」の沙羅さんの素晴らしさの余韻がまだ残っていたので比べてしまうと圧倒的な差がありますね。

lbookneet.hatenablog.com

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見城美彦さんがサングラスしており、表情が読みとれない描写でちょっと思い出したのですが、日本人は目で、欧米人は口で表情や感情を読みとっているらしいですね。世界のマスク事情でのニュースで知ったのですが、面白い研究結果だなあと印象が残っていました。確かにサングラスしている人を見かけると怖いイメージがありましたが、正常な反応だったんですね。良かった良かった。