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有栖川有栖さんの「スウェーデン館の謎」を読んでみた ネタバレ/感想

今回紹介するのは有栖川有栖さんの「スウェーデン館の謎」です。取材目的で磐梯山を見渡せるペンションに泊った推理作家の有栖川有栖。地元の人がスウェーデン館と呼ぶログハウスに招かれ、楽しい時間を過ごすが、殺人事件に遭遇してしまう。応援に駆けつけた火村&アリスが惨劇の謎に挑む、国名シリーズ第二弾!

 スウェーデン館の謎

ミステリー小説の取材目的で磐梯山を見渡せるペンションに泊った推理作家の有栖川有栖。ペンションオーナー・迫水春彦が取材に協力的で小説内での殺人事件にうちのペンションを使っていただいてもかまいませんよと快く承諾してくれた。春彦から隣家に建つスウェーデン館と呼ばれるログハウスのことを教えられる。

 

乙川リュウ童話作家

乙川ヴェロニカ:リュウの妻でスウェーデン出身

乙川流音:乙川夫妻の息子。七歳の時、沼に落ちて亡くなる

乙川育子:リュウの母

ハンス・ヨハンソン:ヴェロニカの父

葉山悠介:リュウの従弟、スウェーデン館に居候中

迫水春彦:アリスが宿泊中のペンション・サニーデイのオーナー

迫水倫代:春彦の妻

迫水大地:迫水夫妻の息子

 

時間がとれたので、取材のために周囲を歩いているとちょっとしたハプニングでヴェロニカと知り合いになる。午後からのお茶会に招待されて、春彦と一緒にスウェーデン館を訪ねると乙川夫妻の友人を紹介された。

 

綱木淑美:児童図書の挿絵担当

綱木輝美:淑美の妹

等々力末:建設会社社長。

 

お茶会に飛び入り参加のアリスのことを疎ましく思うどころか、歓待してくれた。ジャンルは違えど同業者としての波長があったのか、雑談が途切れることなく楽しい時間を過ごすことができた。名残惜しく、スウェーデン館を辞したその夜、夕食を終えて小休憩しているアリスのもとをリュウがお酒を手土産に訪ねてきた。迫水夫妻も加わり、四人で話に花を咲かせた。楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、時計が一二時を告げたのを合図にリュウは帰って行った。

 

翌日、スウェーデン館の離れで綱木淑美が頭を殴られて殺されているのが発見された。すぐさま駆けつけた警察の事情聴取の結果、死亡推定時間は昨日の午後十時半から十二時までの間に絞られた。その時間のアリバイを証明できるのは、ペンション・サニーデイでお酒をお供に夜のお茶会をしていたリュウたちだけだった。

 

また、第一発見者はリュウだ。早朝トイレに行った際に窓から見えた離れの異変(この寒い季節にドアが半分ほど開いていたり、煙突が折れていたり)に気付いた。只ごとじゃないと感じたリュウは裏口から外へ出ると、離れに向かって続く足跡の残されていた。昨夜、淑美が引き上げていったときのものだろうと推測し、離れの様子を窺うと、リビングには誰もおらず寝室で床に倒れている淑美の変わり果てた姿を発見した。

 

外部、内部犯行説のどちらかを採ろうとしても不可解な謎が残ってしまい難解である。さまざまな説が頭の中を通り抜けていくがアリスには荷が重い。そこで殺人事件に巻き込まれたと火村に連絡をして、嫌な予感がする、来てくれと応援要請をするとその日のうちに新幹線とバスを乗り継いで駆け付けてくれた。さっそく、アリスが撮っておいた現場の足跡写真を手に取り、あれこれ想像を膨らませていると、新たに枕カバーが紛失しているとの情報が入る。犯人が盗んでいったものと見て間違いないだろう。

 

さらにここにきて迫水夫妻の息子、大地から重要な証言が飛び出る。

四年前に流音が沼に落ちて亡くなった日に沼の付近で淑美を見かけたこと。ものすごい形相でここで会ったことは誰にも話してはいけないと口止めされたこと。淑美の他に第三者がいたかもしれないと証言した。

 

バレンタインデー当日、今度は離れで輝美が頭を殴られて倒れているのが発見された。微弱の脈を感じ取れたが、危険な状態には変わらない。予断を許さない状態で病院に運ばれていった。悠介は、チョコレートをくれた輝美が箱の飾りに付着している何かに気付いたと証言した。付着していたのは血液のようで、昨夜彼女が酔っ払って指を切ってしまったものだろうと考えられた。だが、母屋で目を覚ました彼女が離れにおいていたはずの箱で指を切れるはずがない。

 

この行動の矛盾をひとつの手がかりに辿りついた火村の推理とは?

 

そして、スウェーデン館のリビングに集まった関係者を前にして火村が犯人の名前を告げる。

 

感想/まとめ

面白かった。

指が切れて付着した血液を辿って、その夜の行動を再現する。すると、遡って足跡のトリックも暴いてしまう。アリスが悩んでいたクイズも一瞬で解いてしまう火村さん流石です!

解説にもありましたが、やさしさは時に残酷だとつくづく感じました。相手を思っての行動が逆に縛ってしまう。

僕もすみませんよりありがとうと言える人になりたいですね。なぜか脈略もなく、勝手に出てきた言葉だが、残しておこう。

 

何より素晴らしいのが大地くんが本当の意味で笑える日がきたことだ。アリスとの掛け合いは好きだが、火村さん個人としては人を殺したいと真顔で語るなど正直掴みどころがなく苦手でした。だが、今作での大地くんとのやりとりを読んで評価を訂正しなければいけない。大袈裟にいえば教育者としての彼を垣間見た瞬間に立ち会えた。大学生や小学生関係なく、先生だったことを忘れていました。

何が言いたいか、混乱してきましたが、これからも火村&アリスを追いたいです!