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似鳥鶏さんの「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」を読んでみた 感想

今回紹介するのは似鳥鶏さんの「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」です。個性豊かで働く書店員のみなさんが本にまつわる事件を鮮やかに解決するストーリー。本屋さんプラス日常の謎。面白いこと間違いない。

 レジまでの推理 本屋さんの名探偵

▼7冊で海を越えられる

書店で働くアルバイト店員のぶっちゃけた語りから物語は始まる。本屋さんを訪れるお客様の中には大声で会話、座り読み、撮影など「行儀の悪いお客様」(万引き、泥棒は論外だが)がいる一方本の並びを直してくれる、怪しい人物を教えてくれるなど「行儀のよすぎるお客様」がいるのも事実だ。

今回は、「行儀のよいお客様」のお話し。学生風の男性、立ち読みの最中陳列の乱れに気が付き直してくれたよいお客様。ありがとうございますと申し訳なさの二通りの感情を抱きながら通常業務へと戻った僕。

しかし閉店間際まで残っていたそのお客さんがちらちらとこちらの様子を窺っていた。何か用事があるのかと思い近づいてみると一枚の紙を手渡された。

 

『ロミオとジューリエット』シェイクスピア

プランク・ダイヴ』グレッグ・イーガン

『君がいなくても平気』石持浅海

『いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか』内藤朝雄

『スーフと白い馬』いもとようこ

『レインⅠ 雨の日に生まれた戦士』吉野匠

『かぜのてのひら』俵万智

 

留学することを決めてなかなか言い出せず直前になって知らせた彼女が怒ってしまい会えない状態で困っている。そしたら昨日上記の7冊が送られてきたらしい。絵本や新書にSFとジャンルがバラバラで一貫性がなく、出版社も違う。それでも何かしらの意味が隠されていると思い本屋さんに助けを求めて来たのだ。

離れ離れになってしまう恋人の懸け橋になることはできるのか。

 

▼全てはエアコンのために

不調のエアコンが原因で店内が蒸し暑くサウナ状態。通常業務を頑張っている書店員をよそに店長はバックヤードでバケツに足を突っ込んで涼んでいた。

ある日書店で働くアルバイト店員の友達が訪ねてきて助けを求めてきた。事情を窺って見ると引っ越しの際に一冊の本が消えてしまい困っている。手伝ってくれた友人を疑うのは気が引けると遠慮ながら話してくれたが状況が物語っているように犯人は彼しかいないようだ。本のことだから本屋さんなら何かひらめきのある答えを知っているのではないかと期待が眩しい。

話の流れでその友達の実家がエアコン関係の業者だと知った店長がうちの青井くん(僕)がスパッと解決してくれるからと勝手に決め付けて交渉成立。

はたして謎は解けるのか。エアコンの為に頑張れ青井君。

 

▼通常業務探偵団

人気作家のサイン会が開かれた。トラブルや混乱もなく無事に終わりに関係者控室では安堵と和やかな空気感に包まれていた。しかし、店長と青井くんが帰宅の際に目撃した怪しげな人影を皮切りにポスターへの悪戯、テディベアが入口に吊るされるなど不可解な問題が発生した。作家さんに付き纏うストーカーらしき人物が浮上するが、いったいどうやって行為に及んだのかが分からない。

書店員で探偵団を結成して事件に挑もうとするがはたして謎は解けるのか。

もちろん通常業務は忘れない!

 

▼本屋さんよ永遠に

青井君と勤める書店が経営難に陥る。追い打ちをかけるように万引きや脅迫めいた文章が届けられる。窮地に立たされて追い詰められた店長がとった行動とは。

あれ?から始まり最後にはやられたーと言うこと間違いなしでしょう。

 

感想/まとめ

うん。面白かった。

書店員は大変な業務をこなして毎日お客様を迎えているのですから頭が下がります。店長さんや青井君を中心に本屋さんで起きた事件を解決する流れになっていて、個性的な登場人物と会話に笑いをもたらしてくれる技にあっぱれ。

最終章の▼本屋さんよ永遠では、本関連全体の現状問題を訴えるばかりではなくある仕掛けをほどこしてシリアスイメージのお話し終えるだけでなく次につなげる演出がすばらしい。

理由あって冬に出るをはじめとする高校シリーズでもやられた記憶が蘇りましたよ。

ライトミステリーで読みやすく是非手にとって作品です。

本屋さんは好きだし、何時間でも店内にいることができてしまう体質です。(迷惑な客かな、、、)なかなか新品で購入する機会が少なく中古や図書館を利用して本を読む機会が多い僕ですが、少しでも紹介して役に立つことができれば幸いです。

そちら側になることはないでしょうから、こちら側で出来る限りのことで支えていきたい想いです。