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米澤穂信さんの「追想五断章」を読んでみた 感想

今回紹介するのは米澤穂信さんの「追想五断章」です。ある未解決事件と五つのリドルストーリーが結びついた時、作者が物語に秘めた悲痛な真実が浮かび上がってくる!

 追想五断章

金銭的な理由で大学を休学中の菅生芳光(すごうよしみつ)は、叔父の広一郎が営む書店でお世話になっていた。ある日のこと、芳光が留守番中に訪ねてきた北里可南子という女性から、亡くなった父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、という相談を受けた芳光は、一篇につき十万円という破格な報酬にも惹かれ、叔父に内緒で引きうけることにした。

 

父親のペンネームは叶黒白、本名を北里参吾という。五つの短編小説は、どれも「結末のない物語(リドルストーリー)」になっていた。また、遺品整理で見つけた結末が判明するラスト一行は可南子の手元にある。創作とは無縁の人生を歩んでいた父親の物語の結末を見つけてみたいと語る彼女の気持ちを汲み取り、この世に散らばった五つの物語を探す旅に出かけた芳光。

 

あらゆる手がかりをもとに、一歩一歩着実に叶黒白が残した断片を回収していく芳光だったが、捜査を進めるうちに、彼が未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者であったことが判明する。

 

家族旅行で訪ねたアントワープのホテルで参吾の妻が首を吊って自殺した事件。妻の身体には銃弾による傷が付いており、また部屋から銃声がしたとの証言から銃所持者の参吾に嫌疑がかけられた。しかし、証拠不十分で逮捕されることはなかったが、帰国後、彼の周辺が慌ただしくなり、逃げるように都会を離れていくことになる。

 

五つの物語に秘められた真実を暴くと共に「アントワープの銃声」の真実も明らかになる!

 

感想/まとめ

面白かった。

 

ミステリーを読んでみるとたま~に遭遇するリドルストーリー。それでは代表作は?と急に問われると意外と抜けているようで出てこない。想像を膨らませるといった読後感を味わえる一方で作者の回答が欲しいと願っている自分がいる。このもやもや感も醍醐味の一つである。

 

空気感の重たさや悲痛の叫びから「氷菓」を彷彿とさせる物語の流れも良かった。