道尾秀介さんの「透明カメレオン」を読んでみた 感想
今回紹介するのは道尾秀介さんの「透明カメレオン」です。道尾さんデビュー10周年作品。いろいろ詰め込まれていて読み応え十分。
今作はラジオのパーソナリティが主人公。さて、どんな展開が待ち受けているのか。
透明カメレオン
主人公は桐畑恭太郎。
ラジオ番組「1UPライフ」のパーソナリティを務めている。
ものすごく素敵な声を持ちながら、中肉中背、分厚いメガネをかけ、髪の毛もさもさ、着ているものは垢ぬけないという残念な容姿をしている。
声と容姿のギャップから、人と話すことが怖くなりひきこもり生活を送っていた。
そんな彼を変えたのがラジオとの出会いでした。
バー「IF」常連客
桐畑恭太郎:主人公
輝美ママ:バーのママ
百花:キャバクラ嬢
石之崎:害獣害虫作業員。痔持ち
レイカ:ゲイバーで働くホステスさん
三梶恵:恭太郎のファン
重松:「仏壇の重」の店主
仕事終わり、馴染みのバー「IF」で終電まで呑んで、始発で帰ると言った生活スタイルをとっていた。
その日もいつものようにバーで飲んでいると、全身びしょ濡れの女の子がいきなり現れ、「コースター」と言い残し、去って行った。
百花には「殺した」と聞こえたと言う。
次の日、話題の主がコースターを見せてくれと現れた。
恭太郎の声を聞いて、彼女は正体に気づいた。桐畑恭太郎の大ファンでいつも番組を聴いていたのだ。
想像通り、、、とつぶやき恭太郎は困惑したが、レイカと重なるようにいたため勘違いしたのだ。
夢を壊さないようにその場はレイカに振りを頼み、連絡を取り合うようになった。次第に恵に惹かれるようになる恭太郎。
そんな幸せも長くは続かない。嘘がばれてしまったのだ。
「信じるわけないだろうが!」恵はブチ切れる。
バーの常連客の皆さんは責任を取らされ恵のある計画に巻き込まれていく。
第一章はここまで、恵の計画とは何か、実際に読んでみてくださいね。
感想/まとめ
めちゃくちゃ感動しました。
やさしい嘘に心が浄化され大満足。
バー「IF」の店名にもなっているように、もしも~ならばの世界を恭太郎は声で作ってくれた。常連客皆に暗い過去がある。恭太郎が導かれるようにバー「IF」潜ったその日から明日への一歩を踏み出した。
恭太郎自身にも悲しい過去がある。
家族思いの優しい恭太郎。母親はプレゼントしたブローチをいつも身につけてくれた。妹との何気ない会話、それが、、、
涙が止まりません。
紫陽花をあんな風に読んだり、実写版無敵マリオといった笑いもありますよ。
終盤、敵と対峙する場面が訪れるのですが
「何なんだ、、、お前」
これほど共感する言葉は久しぶりです。