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一色さゆりさんの「神の値段」を読んでみた

今回紹介するのは一色さゆりさんの「神の値段」です。第14回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品。芸術、美術関係には縁がなく心配していましたが、読みやすく問題ありませんでしたよ。

 神の値段

あらすじ

メディアはおろか関係者の前にも一切姿を見せない現代美術家・川田無名。彼は、唯一つながりのあるギャラリー経営者の永井唯子経由で、作品を発表し続けている。ある日唯子は、無名が1959年に描いたという作品を手の内から出してくる。来歴などは完全に伏せられ、類似作が約六億円で落札されたほどの価値をもつ幻の作品だ。しかし唯子は突然、何者かに殺されてしまう。アシスタントの佐和子は、唯子を殺した犯人、無名の居場所、そして今になって作品が運びだされた理由を探るべく、動き出す。幻の作品に記された番号から無名の意図に気づき、やがて無名が徹底して姿を現さない理由を知る――。

 

 

 川田無名を取り巻く特殊な事情

主人公は、田中佐和子。永井唯子のパーティの席で卒業後ギャラリーで働かないかと誘われる。

そのギャラリーは現代美術家・川田無名の作品を扱う。無名は一切表には出ず、パートナーである唯子を通して作品を発表しているのだ。そのため、死んでいるのではないか?と噂が流れるほどだ。

ある日、ギャラリーにとんでもない作品が届けられる。無名が1959年に描いた幻の作品。現在に当てはめると数十億の価値がある。唯子は、佐和子、スタッフの松井に一切口外しないよう注意した。

 

永井唯子の死

永井唯子が作品を保管している倉庫で殺されているのが発見された。

なぜ、そんな場所で、疑問を持ちつつも悲しんでいる暇なんてない。

ギャラリー関係の仕事は自分のテリトリー。唯子に教わった通りに業務をこなしていく。

 

唯子の死により、彼女だけがつながりがあった無名の足取りがつかめない。警察もお手上げの状態だ。

落ち着いてくると1959年の作品のことが頭から離れない。時期的に唯子の死と関係んがあるのではないか。どうするべきか。

 

無名の秘密

無名の作品の秘密を知った佐和子。

彼の意思を尊重し、オークションに出品することになった。

落札された価格は、なんと、、、アジア市場最高額。

 

事件の方も、佐和子が、、、

 

 

感想/まとめ

芸術、美術には疎い僕でも楽しく読めた。ミステリーよりもアート関係の話題が強い印象。知らなかった世界に足を突っ込んだ感じ。

どの分野の世界も正体不明という単語は惹きつけられますね。

全体を通して、文章に丁寧さが伝わってくる。こちらも真剣に読もうと意欲が湧いてきますよ。

 

 

自分ですら忘れていた誕生日にプレゼントをさらりと渡す唯子さん。かっこいい女性ですね。

佐和子のことを自分自身の若い頃に重ね合わせてかわいがってたいのかな。上司として、人間として尊敬できる人だったんでしょうね。

 

 

 

佐和子の父親の言葉で価格と値段の違いはとても勉強になった。

価格というのは、需要と供給のバランスに基づいた客観的なルールから設定される。一方で値段というのは、本来価格をつけられないものの価値を表すための、所詮比喩なんだ。作品の金額というのは売られる場所、買われる相手、売買されるタイミングによって、常に変動し続ける。

 

最後のメッセージは佐和子の人生にとってどのような影響があるのか色々想像してしまう。

それにしても、神の値段、、、いい言葉だね。