北山猛邦さんの「私たちが星座を盗んだ理由」を読んでみた
今回紹介するのは北山猛邦さんの「私たちが星座を盗んだ理由」です。短編集ですがそれぞれ世界観が違っており楽しめますよ。また、全体的にガツンとくる物語が多い印象です!
私たちが星座を盗んだ理由
あらすじ
恋煩い
高校生のアキは同じ高校の先輩に恋をしている。もうすぐ卒業だというのに話しかける勇気もなく時間だけが過ぎていくばかりだ。
アキには二人の友人がいる。トーコとシュンだ。トーコは長い黒髪が似合うお嬢様のような女の子。シュンは未だに悪戯っぽい子供のままの男の子。二人とも小学校からの付き合いだ。
ある日、トーコから片想いの相手と両想いになる方法があると聞かされる。半信半疑だったアキが試してみると憧れの先輩と話しかけるチャンスが巡ってきたのだ。
ようやく動き出した関係だったが、まさかあんな結末を迎えようとは思わなかった。
妖精の学校
記憶を失った少年ヒバリが妖精の学校と呼ばれる場所で生活する姿が描かれている。
妖精、ファンタジーの物語かと思いきや、雲行きが怪しくなる終盤。
そして、20°25′30″136°04′11″これの意味するものとは?
嘘つき紳士
東京に来て五年、金に困り途方に暮れていた男が携帯電話を拾うことから物語が始まる。ニュースで携帯電話の持ち主が交通事故で死亡していると知り、持ち主のふりをして恋人の「キョーコ」からお金を騙しとろうと考えます。
しかし、「キョーコ」とやり取りをしているうちにあることに気づく。騙しているはずが逆に騙されている。それは彼女の恐ろしい計画だった。
終の童話
石喰いと呼ばれる触れた人間を石にしてしまうバケモノが村に現れる。主人公のウィミィが慕っていたエリナもまた石にされてしまった。石像となったエリナと生活を続け気がつけば彼女の歳を追い越していた。10年という長い年月と共に過ごしてきた石像もところどころ欠け始めていた。
ある日、石像にされた人間をもとに戻すことができる異国の男がやってきた。ウィミィもエレナを戻せると希望を持ったが、、、
私たちが星座を盗んだ理由
看護師として働く姫子が幼なじみのお兄ちゃんに再会し、昔おきた不思議な出来事についての答えを聞き出す。
姫子には幼い頃病気で亡くなった姉がいた。入院生活の中、姫子の姉のために夜空から星を盗んでプレゼントしようとお兄ちゃんは考えた。七夕の日、その日は姫子の命日となるが、夜空の星が消えている光景を見ることができたのだ。
「よかったね、姫子」姫子が聞いた姉の最後の言葉。
どうやって星を消したのか。そして姉の言葉の意味とは。
感想/まとめ
北山猛邦さんの「私たちが星座を盗んだ理由」いかがだったでしょうか。5つの物語それぞれにどんでん返しがあります。好き嫌いがあると思いますが、全体的に楽しめました。読後感はあまりいいものではないですがね。
どの物語が好きか悩みましたが、一番すっきりしたのは妖精の学校でしたね。解説サイトを見て、そういうことかと思わず口に出してしまうほど感心しました。
タイトルに付けられた私たちが星座を盗んだ理由。最後の最後はハッピーエンドかなと思いきやあんなオチが用意されていたとは。
北山さんの他作品も読んでみたいと思います。