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周木律さんの「眼球堂の殺人」を読んでみた ネタバレ注意/感想

今回紹介するのは周木律さんの「眼球堂の殺人」です。各界から著名人が招待された眼球堂。その館で起きる奇想天外な事件に放浪の数学者・十和田只人が挑む。彼は真実を証明することはできるのか?

 眼球堂の殺人

放浪の数学者と呼ばれる十和田只人と彼を追いかけるルポライター陸奥藍子の元へ、天才建築学者驫木煬から招待状が届いたことから物語は始まる。(正確には藍子は招待されていない、無理矢理十和田に同行していた)

 

驫木の私邸「眼球堂」は二人に想像を遥かに超える建物だった。俯瞰してみた姿は眼球そのもの。立地を含め、むちゃくちゃな建造物が目の前に立っている。この非現実的な館に各界で才能を発揮している天才たちが招待されて集まった。

 

▼登場人物

十和田只人:放浪の数学者(探偵)

陸奥藍子 :駆け出しのルポライター(語り手)

驫木煬  :世界を代表する建築学者

善知鳥神 :驫木の子供。天才数学者

平川正之 :眼球堂使用人

深浦征二 :精神医学者

三沢雪  :芸術家

造道静香 :編集者

南部耕一郎:物理学者

黒石克彦 :政治家

 

上記のメンバーが初顔合わせした夕食会は和やかなとは程遠い緊迫が伴なった。心配していた藍子の許可を頂いたまでは良かったのだが、各界の才能あふれる著名人を前にしても建築学こそすべての頂点にたつものであると我が道を行く驫木の主張は受け入れがたいものだった。常に平行線のままの激しい言い争いが落ち着き、沈黙が訪ねた頃合いを見てお開きとなった。こうして各々部屋に戻り一日目は終わりを迎えた。

 

▼二日目

館主である驫木が細い柱の先端に刺された状態で発見された。奇抜な状態での姿、いかにしてこの状況が作り上げられたのか問題として挙がった。はやにえから最も近い柱で十メートル離れており、皆がいるこの場所からも十五メートルほど離れている。幾つかの案が十和田から提示されたが、証明できないとこの時点では消化不良で終えてしまった。とにかく警察に連絡しようとしたが電話がつながらない。さらに出入り口がロックされて外に出られず閉じ込められてしまった。完全なるクローズドサークル。何者かの意図が働いているのか、藍子には嫌な予感がしていた。

 

感想Ⅰ

面白かった。館、クローズドサークル、連続殺人とこのような設定が好きな方にはおススメしたい小説でしたね。ただネックとなるのが数学的描写が多い。勉強になりますというレベルを超えていますので本音をいうとほとんど飛ばして読み終えた。その点を差し引いても面白さは抜群でした。

ここからネタバレがあるので未読の人は戻りましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

▼三日目

今度は黒石先生が転落死した状態で、南部先生が部屋で撃ち殺された状態で発見されたのだ。黒石先生の傍に拳銃が落ちていたことから南部先生を殺害した後に飛び降り自殺したと説が挙がったが彼の政治家人生を見てもその可能性は低い。いったい誰がどのようにして行ったのか?

 

▼四日目

今度は三沢先生が心臓を一撃で射抜かれ死亡、深浦先生が転落死した状態で発見された。三日目と同様に福浦先生の傍には拳銃が落ちていた。今度は福浦先生が殺害して自殺を?そんなはずはない。しかし決定打がないまま時間だけが過ぎる。現在生存してい十和田、藍子、平川、造道の四名。この中に犯人はいるのか?それとも、、、

 

ふと藍子がつぶやいた「眼球堂」の由来と「名は体を表す」の言葉の後、十和田が閃いた。そして、奇抜な館「眼球堂」の謎へと迫っていく。

 

 

 

感想/まとめ ネタバレあり

「眼球堂」という由来。十和田が注目していた柱の数。二重扉の意味。この謎が明らかになる終盤は気持ちが良かった。

館が動くことによって二重扉がロックされて転落した意味も繋がる。

水を溜めることによって泳ぐことが可能となり、柱に刺すことができた。(名探偵コナンのお寺の事件で水を溜めるトリックが使用されていたことを思い出した)

犯人が身を隠していた死角。

眼球堂は形だけではなく眼球と共通しており、目にまつわる慣用句や性質を表していたのだ。

目が回り、涙が溜まり、目が泳ぐ、そして盲点。考えがすばらしい。

 

そして、書体を変えたエピローグ。

『眼球堂の殺人事件』として出版。登場人物を青森の地名に置き換えた。

陸奥藍子の正体が善知鳥神だったことが判明。まったく気付くことなく驚愕しました。

視点の叙述トリックには違和感を感じることができたけど、神のお遊びとは、とほほ。

 

また素晴らしいシリーズに出会えたことに感謝して追い続けることにします。

しかし、この感想を書いている時点で教会堂の殺人を読み終えています。あのラストに茫然としてショックでいます。癒えるのを待ちながら完結へ向かっていきたいと思います。