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今邑彩さんの「裏窓 殺人事件 警視庁捜査一課・貴島柊志」を読んでみた 感想

今回紹介するのは今邑彩さんの「裏窓 殺人事件 警視庁捜査一課・貴島柊志」です。密室の部屋から墜落死した女性。向かいのマンションに住む少女は、犯行時刻の部屋で不審な男の姿を目撃していた?!貴島シリーズ第二弾。

 「裏窓」 殺人事件 警視庁捜査一課・貴島柊志

九階建てのマンションに住むデザイナー・北川翠がベランダから墜落死した。捜査の結果、誰かと争った痕跡もなく、遺書も発見されない。飛び降りるのを見たという目撃者は現れなかったが、ドアはロックされ、その上、チェーンもかかっており、他殺の線は薄い。聞き込みで最近被害者は、仕事と異性関係で悩んでいたことが判明し、警察は発作的な自殺だと結論付けた。しかし、坪田純子と名乗る少女の通報が、単純明快に思えたこの事件をかき乱すことになる。

 

警視庁捜査一課の貴島柊志が、純子の住んでいるマンションに訪ねた。彼女は、事故で足が不自由となり車いす生活を送っていた。普段は兄と二人暮らしだが、ヨーロッパに新婚旅行中で現在留守中。その間、通いの家政婦・大野マサエが住み込みで面倒を見ているという。

 

さて事件について話題が移ると、二月二十六日午後九時十分頃北川翠の部屋を双眼鏡で覗いていると窓辺に男の姿を目撃したと自信満々に証言した。この行為はその日が特別ではなく、北川翠が飼っていた鳥をチーコと名づけて双眼鏡で日常的に眺めていたと話した。彼女の証言が本当ならば自殺という結論を撤回しなければいけない可能性がある。ただ、空想癖があるというし、密室の現場からどこに男が消えたという謎も残り、現時点では信憑性に欠けていた。

 

別の場所で起きた女子大生・久保まこと及び及川暁美が殺害された事件が、北川翠墜落死事件と関連性がある可能性が浮上し、さらなる混迷を深めることになる。発端は、またしても坪田純子の証言である。犯人らしき人物からの無言電話と何者かが部屋に押し入ろうしたと騒ぎだしたのだ。ただ、今度は彼女が電話越しに聞いたという鳩時計の音と通話記録が証拠となり、空想だと無下にすることなく捜査の材料となった。犯人が同一人物だとすれば、同時刻に別の場所に存在したことになり辻褄が合わない。あちこち出現して煙のごとく消える相手に苦戦を強いられていた。

 

また、北川翠の部屋には一枚の絵が飾られていた。その絵を所有していた人物が立て続けに不可解な死を遂げていたことも分かった。密室での事故死、死の直前に奇妙な態度を取るようになったされる共通点も浮かび上がった。これは偶然の一致なのか?まさか、現実から目を背けて、ありえもしない何かを待っていた?純子が目撃した姿はこの世のものではない何かだったのか?

 

貴島までもが妄想に浸食されて悩ますほどの事件を論理的、合理的に解決することはできるのか?

 

感想/まとめ

面白かった。

ヒッチコックの「裏窓」のごとく、少女が双眼鏡で覗いたことで事件が始動しましたね。映画素人の僕としては当然のごとく映画内容を知らなかったですけどね。

 

まさかの犯人とまさかの動機。ダブル驚きを味わいましたよ。常人には理解できないことだが、本人が正しいと思い込んでおり、説得の余地がないのがまた恐ろしい。また、主張が激しい一枚の絵。ホラー、オカルト路線の解決なのかと思いきや論理的、合理的に説明がつく締め方。あとがきで述べているようにエピローグは流してしまった方が好みのラストでしたね。

 

そうそう、忘れてはいけない純子ちゃんが見たという男の正体。まさかの彼だったとは。時間が作りだした密室、、、このフレーズに痺れて、一言。

お見事です。