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天祢涼さんの「闇ツキチルドレン」を読んでみた 感想

今回紹介するのは天祢涼さんの「闇ツキチルドレン」です。共感覚探偵・音宮美夜シリーズ第二弾!

 闇ツキチルドレン

ある地方都市で猫と犬、そして人が襲われる殺傷事件が発生する。泥酔状態で被害に遭ったサラリーマンが唯一覚えていた、子どものように笑った犯人という言葉から「チャイルド事件」と命名された。その事件を共感覚探偵・音宮美夜は、妙な出会い方をした高校生・城之内愛澄とともに捜査に乗り出すことになる。

 

容疑者の男は、元エリート警察官僚の最上倉太郎であった。さっそく美夜と愛澄の前に現れた倉太郎は私は音宮くんを殺したい共感覚を挑発するような態度を取る。さらに、音宮くんが探偵であること、共感覚者であること、チャイルド事件の容疑者として私のことを探っていることなどお見通しだと勝ち誇った表情で見せた。そして、私にはお願いすれば動いてくれる友達がいることを付け加えて、美夜の背後にいるエリート官僚の矢萩に私のことを調べるのは時間の無駄だから辞めろと脅迫&忠告をしてきた。只黙って引き下がる美夜ではなく、倉太郎が数年前までマザーと呼ばれる祈祷師と懇意にしていたことを問うと、かすかに反応を見せた。何か隠し事があるのだと睨み、その線を辿っていくことになる。

 

この席に同席していた愛澄に探偵であることが知られてしまったが、姐さんと呼んでちゃっかり助手兼ワトソン役に収まり、行動を共にする。そして彼女から倉太郎の孫・最上津希子とその元彼氏である三吉の現状を教えてもらった。女好きの三吉と彼に依存する津希子。不完全なバランスを保ちながら愛し合っていた二人を、愛澄は友人として見てきたという。

 

その矢先、三吉が何者かに殺されてしまう。容疑者最有力の倉太郎が殺したのか否か、その判断を任された矢萩の命令ですぐさま動き出す。目的地は、倉太郎が懇意にしていた祈祷師の家。案内役を愛澄に任せて気を引き締める。

 

果たして倉太郎は犯人なのか?それとも、、、

共感覚探偵・音宮美夜に待ち受ける受難とは?

 

感想/まとめ

面白かった。

前作同様キョウカンカクを前提にしたミステリーを十二分に味わえて大満足。前作の犯行の動機が狂気過ぎて参ってしまった経験から身構えていたので何と楽しかったという余韻を残しつつ、歪な物語を閉じることができた。

 

真犯人が暴かれる流れが不意打ち過ぎて痺れました。美夜が調査に乗り出すと助手兼ワトソン役と知り合い、犯人を追い詰めていくまでは前作同様でしたが、まさか真犯人があの人だったなんて、、、思い込みもトリックの一つなんですね。一ページまるまる使った心の叫びに今作も狂気を感じましたね。

美夜さんの男装もたまらない。美系顔でしょうから、似合うこと容易に想像できます。

 

ウザくてクズで勘違いキャラな彼だったが、この会話は読後も重くのしかかった。

「俺みたいな奴が他人から愛されるのが、どんだけ大変か判ってんのかよ。どんなに必死に愛しても、愛してもらえないんだよ。でも俺はいつだって必死なんだ。お前みたいな、勝手に相手が寄ってくる奴には絶対に想像もつかないくらいにな」