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有栖川有栖さんの「海のある奈良に死す」を読んでみた 感想

今回紹介するのは有栖川有栖さんの「海のある奈良に死す」です。「行ってくる。海のある奈良へ」と言い残して、取材旅行に出かけたアリスの同業者が死体で発見された。アリスは火村と共に調査を開始する。シリーズ第三弾!

 海のある奈良に死す

推理作家の有栖川有栖は、半年をかけて完成させた長編小説の見本を見るために東京にある出版社・珀友社に来ていた。応接室に通されて、担当編集者の片桐光雄が届いたばかりの完成品を取ってくるのを心待ちにしていると、同業者の赤星楽が大きなショルダーバックを肩に掛けて現れた。お互いの近況を冗談交じりで花を咲かせた後、今から次回作の取材旅行に行くと言い応接室を後にした。

「行ってくる。『海のある奈良』へ」と意味深な言葉をアリスに言い残して、、、

翌日、福井県若狭湾で赤星が死体で発見された。検視の結果、他殺の疑いが強まり殺人事件として捜査されることになった。赤星と最後に会話した関係者として、アリスも警察から聴取されることになる。彼の死についての実感が湧いてきて、何らかの行動を起こして彼を弔ってやりたいとの思いが強くなった。そこで友人の火村を巻き込んで調査を開始した。

 

▼登場人物

アリスの作品の件で知り合ったプロダクション「シレーヌ企画」代表取締役・穴吹奈美子とプロデューサーの霧野千秋。同業者でアリスと仲の良い朝井小夜子。彼女と赤星の担当編集者・塩谷。赤星の従弟・近松ユズルが登場する。

 

近松が薬物中毒で死んでいるのが発見された。テーブルに置いてあったウィスキーのボトルとグラスから青酸カリが検出された。遺書もないし、大音量でテレビをつけっぱなしにしたまま自殺するのは不自然だ。また近所のレンタルビデオ店からビデオを借りていたことも判明し、こちらも他殺の線で捜査が進められた。赤星から近松へ送られたウィスキーの経路も解決へのカギとなる。巻き添えを食らったのかそれとも、狙われたのか?

 

アリスの新作が「セイレーンの沈黙」と赤星の新作「人魚の牙」。彼が語った海のある奈良といえば小浜。小浜といえば人魚。まるで伝言ゲームのように人魚つながりが見えてくる。また、プロダクション「シレーヌ企画」代表取締役・穴吹奈美子。四五歳という年齢とかけ離れた外見は、人魚の肉を食べると歳をとらなくなるという言い伝え、八百比丘尼を彷彿とさせた。

 

こういった人魚の設定を上手く練り、複雑に絡まった道筋を辿り、解きほぐしていく火村とアリスの活躍をご覧ください!

 

感想/まとめ

面白かった。唐突に打ち明けられた肉親関係にはお二人同様目が点になりましたが、あれはありなのか?

火村とアリスは赤星が言い残した海のある奈良を求めて旅に出る。あっちいったり、こっちいったりと事件の捜査でなければ素晴らしい観光ツアーなのですが、二人にとってはミステリーツアーとなってしまう。

アリスの同業者が登場したり火村が悪夢に悩まされる描写、彼がお世話になっている大家さんの篠宮時絵さんが登場したりと動き始めた作家シリーズ。

まだまだ先は長いが全作読破まで頑張ろう!

 

レンタルビデオ懐かしい。レンタル中の札かかってたな。今の若い子はVHSなんて知らないだろうね。はぁ~歳をとったな。人魚にちなんで、僕は不老不死ではなかったということだ。