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法月綸太郎さんの「雪密室」を読んでみた ネタバレ/感想

今回紹介するのは法月綸太郎さんの「雪密室」です。ある理由から山荘に集まった招待客。その夜、離れで不審な死を遂げた女性。周囲には雪一色、死体発見者の足跡しかなかった。この密室の謎に法月親子が挑む、法月綸太郎シリーズ第一弾!

 雪密室

▼登場人物

法月綸太郎推理小説家、探偵

法月貞雄 :警視。綸太郎の父親

篠塚真棹 :招待主

篠塚国夫 :真棹の夫

沢渡冬規 :月蝕荘のオーナー。真棹の元夫

沢渡恭平 :冬規の弟。官僚

峰裕子   :月蝕荘でお世話になっている

真藤亮   :陶芸家

真藤香織 :亮の娘

武宮俊作 :歯科医

中山美和子:マーキュリー企画という芸能プロダクション所属のモデル

 

奇妙な招待状を受け取った法月貞雄警視は、沢渡冬規がオーナーを務める『月蝕荘』を訪れた。招待状には「あなたの妻は、あなたを裏切っていた」「あなたの息子は、あなたの子ではない」と短い文章が記されていた。招待主である篠塚真棹は強請や恐喝、支配欲に取りつかれた女性で、多くの人が彼女の犠牲になって苦しんでいた。この招待状の意図は明確で弱みを握っているぞとメッセージが込められていたのだ。さらにある人物からも秘密裏にミッションを受けており、多忙な休暇になりそうな予感がしていた。

 

本日の集まりの趣旨は真棹と冬規の結婚記念日を祝うためであった。現夫の国夫も同席して祝う感じでちょっとありえないが、国夫もまだ冬規に未練があるのではと涼しい顔をして応えていた。食事を経て、就寝の時間が迫り、部屋に戻って横になったが、なかなか眠れないでいた。部屋の外から聞こえてくる水の音。亡くなった妻との遠い思い出が甦ってきて安眠を妨害してきた。冬規の部屋を訪ねてみると、温かい飲み物と音楽を処方されて嘘のようにリラックスすることができた。お礼を言い、部屋に戻って冬規から渡された耳栓してベットに潜り込むと、すぐに眠りに落ちて行った。

 

午前五時四十五分に体を揺すられて起こされた。朦朧とする意識の中で誰だと訪ねると、恭平だと返事がきた。離れの方でずっと電話の音が鳴り続いており、真棹が心配だから様子を見に行ってくる、一緒に来てくださいと部屋を飛び出していった。慌てて恭平の後を追って外に出てみると、一面雪景色であった。見ると恭平の足跡のみが真棹がいる離れに続いていた。鍵がかかっているのでスペアキーをお願いしますと指示が飛び、ロビーに保管されているスペアキーを持って離れまで走った。もちろん足跡を乱さないように注意し、周囲の様子を観察しておくことも忘れなかった。恭平を入り口で待たせ、警視一人で部屋を見て回ると、寝室で天井から首を吊って死んでいる真棹を発見した。

 

すぐさま綸太郎に応援を頼むが締切に追われていて無理だと断られてしまう。とにかく興味を示してもらおうと状況を説明し始めた。

未明にかけて降った雪は、死亡推定時刻にはやんでいた。離れ周辺の雪の上には、発見者の恭平の足跡しか残っておらず、彼にも離れに入ることは不可能だった。離れの鍵は冬規の自作で、現在二個しか存在していない。一個は真棹が持っており、もうひとつはロビーに保管されていた。警視がすべて中から施錠されていたことも確認済みだと話したとこで、それは自殺だ。地元の警察に任せて帰ってきなさいと言う始末だ。心臓が弱っていたり、株で損をしていたことが判明して、地元警察も自殺説が濃厚だと考えていた。それでも警視は異議を唱え、真棹は自殺するタイプではないし、『月蝕荘』に招待された人達には動機があると訴えた。警視を送りこんだ人物もよけいなことをするなと忠告してきて、孤立した状態になってしまった。

 

犯人を突き止めるために関係者に踏み込んだ質問をしてを捜査を進めるが、あまり芳しくない。警察の捜査も、新しい反証のないかぎり自殺であるという結論に至った。また、真棹の死が判明してから姿をくらました中山美和子が未だに見つからない。彼女を心配して『月蝕荘』の人達も捜索隊に加わることになる。だが、捜索中に武宮がいなくなってしまう。この機会を狙って強請のネタを処分しようと離れ向かったと予想した警視は単独で後を追った。何かを探している武宮を捕まえようと気配を消して近づくが、逆に反撃に遭い、意識を失ってしまった。

 

目を覚ますと、そこには綸太郎の姿があった。警視が襲われたと聞いて、駆け付けてきてくれた息子を前に涙する父親だった。さてここから名探偵綸太郎のターンが始まる。いきなり離れで隠し金庫を発見するという成果をあげるが、中はからっぽだった。また冬規に話を聞きに行った際に耳栓の話題になった瞬間の彼が見せた失策のような表情に気が付き、一つの仮説をたてた。あの雪の上に残された足跡もサイズさえ分かれば解決出来ると自信をのぞかせた。警察を動かせる証拠も見つかり、いよいよ物語が解決のクライマックスへと突入する。

 

再び事件の関係者が集められた『月蝕荘』で綸太郎の推理が炸裂する。

 

感想/まとめ

面白かった。法月親子シリーズがここから始まるんですね。ちょっと仲の良すぎる?親子こ活躍に期待したい。

読者としては燃える要素の一つであろう読者への挑戦状もあります。雪の上の足跡のトリック、あなたは解けましたか?もちろん僕は解けませんでした。ハハハ

ちなみに中山美和子さんは『ふたたび赤い悪夢』で再登場しますよ!

 

作中にも挙がった、カーター・ディクスンの『白い僧院の殺人』いつか読んでみたい。外国の小説はなかなか読みませんが、いつかはね。