周木律さんの「伽藍堂の殺人」を読んでみた 感想
今回紹介するのは周木律さんの「伽藍堂の殺人」です。またまたとんでもない館が登場するシリーズ第四弾!
伽藍堂の殺人
宮司百合子の元に講演会の招待状が届いた。百合子から招待状を見せられた司は、藤衛という名前に危惧の念を抱いた。二十年前に起きた事件の主犯として、この春まで死刑囚として留置所に収監されていたのにもかかわらず、再審で無罪を勝ち取りその後の足取りはつかめず、姿をくらましている。両親を奪われた司にとって絶対に忘れることができない男なのだ。大切な妹をそんな場所へ行かせたくないのはシスコン気味の兄なら当然のことだ。
しかし講演のテーマは、あの「リーマン予想」であり、百合子も興味があるようだ。
百合子は行きたい、司は行かせたくないと互いに押し問答になる。それなら二人にとっての妥協点、百合子の参加を認める代わりに保護者として司が帯同することで一応決着がついた。
かつての宗教団体のBT教団が所有している伽藍堂。教主が信者の前で瞬間移動をしたという奇蹟がこの伽藍堂で行われた。
その伽藍堂に到着すると、シリーズお馴染みの放浪の数学者十和田只人と沼四郎の娘である善知鳥神がいた。宮司兄妹と十和田&善知鳥神と主役級の人物が初めて揃った形になった。
▼登場人物
脇宇兵 :記者
小角田雄一郎:教授
常沢浄 :講演者の先生
大石誉樹 :講演者の先生
品井秋 :管理人
十和田只人 :放浪の数学者
善知鳥神 :沼四郎の娘
伽藍堂には二つの堂があり、最初に伽堂で常沢先生が、次に藍堂で大石先生の講演が行われた。二人の講演の内容は省略しますが(正直僕には意味が分からない)傍聴者の讃える拍手の大きさから成功といえるだろう。
しかし講演を終えた後、二人はいなくなってしまう。伽堂と藍堂は離れた場所に位置しており、行き来は桟橋を渡る手段しかない。そのおよそ中心に宿泊所がある。今確認したが二人はここにはいない。消去法では外にいることになるが。いったいどこに消えたのか?
とにかくみんなで探しに行くことになり、まずは藍堂に向かったが大石先生の姿はなかった。次は、伽堂に向かった。そして、ふたりを見つけた。死体となって、マイクスタンドに貫かれた無残な姿となり発見されたのだ。
「百舌のはやにえ」のように。
感想/まとめ
面白かったが、、、あのエピローグで雲行きが怪しくなってきた。とんでもないトリックに意図が見えない、掴めない、犯人の供述。どこへ向かっていくのかこの堂シリーズは。
自然数、素数、ゼータ関数にリーマン予想。脳が理解するのを拒否してむずむずしてきます。馴染みのない世界と割り切りましょう。ただ、バナッハータルスキーのパラドックスは不思議な感じがしますね。少し興味が湧きました。
百合子さんのお兄ちゃんと一緒にいるというセリフ。司さん同様胸に染みました。
そして次回作、はぁ~。