市川憂人さんの「グラスバードは還らない」を読んでみた 感想

今回紹介するのは市川憂人さんの「グラスバードは還らない」です。「ジェリーフィッシュは凍らない」「ブルーローズは眠らない」に続くシリーズ第三弾。グラスバードとはいったい何だ？マリア、漣コンビにも期待大！

 グラスバードは還らない

▼プロローグ

ベンチに座る男に恐る恐る近づく少女。何をするわけでもないがぽつりぽつりと会話をしたら静寂の繰り返し。しかし、少女に取って広場のベンチで男と並んで座ることが日課となった。ある日のこと、ベンチの下に見慣れないバッグが置いてあった。警察に届けるため両手に抱えるように持って走り出した少女。

それが二人にとって永遠の別れになった。爆音が轟いて、悲鳴と絶叫。男は茫然と黒い煙が立ちあげる方を見つめた。

▼グラスバード

高層ビル『サンドフォードタワー』で主ヒュー・サンドフォードを前にしてプレゼンが行われていた。ヒューが所有するガラス製造会社のトラヴィス、部下のチャック、研究者のイアンが試作品サンプルを提示した。思うようにいかなかった反省を踏まえゼロから見直した今回の自信作。ヒューの表情を見る限り成功だった。

プレゼン後、ヒューはトラヴィスを夕食の席に招いた。お酒も進み比較的リラックスした雰囲気の中、噂になっていた希少生物コレクションを見せることになった。案内された先の部屋では、独特の匂いと共に何十体もの生物が囲われていた。その中には、テニエル博士の青バラも陳列されていた。世に出回っていないはずの青バラ。そう、ここにある大半のものは非合法な手段で入手したことはトラヴィスの目にも一目了然だった。

さらに一番奥には厳重に管理された扉があった。ヒューが語るには、特に貴重なコレクションが入っており、充分に気をつけること、油断していると魅入られるぞと勧告を受けた。いったい何が入っているのか？

さらに、ここまでメイドの仕事を完璧にこなし、ヒューの背後で場に溶け込んでいたメイドのパメラもある目的があるようで。

◆プレゼン後に別れたチャック、イアンの動向

チャックはヒューの娘ローナは恋人だ。ローナに連れられてコレクションルームに向かっていた。二人の関係は周囲には秘密だし、今回の探索もヒューには内緒だ。そして一番奥、ヒューが語った貴重なコレクションが飾られている禁断の場所に足を踏み入れた。「硝子鳥」と呼ばれる生物。その美しさにチャックもローナが傍にいることを忘れるぐらい目を奪われていた。

イアンも恋人であるセシリアと成功の喜びを分かち合っていた。彼女もまた学部は違うが同様に研究者の卵だ。しかし彼女には何か裏があるような雰囲気が漂う。

▼タワー

マリアと蓮は実業家ヒュー・サンドフォードが希少動植物の違法取引に関与している上表を入手していた。大物だけに慎重に裏取り捜査を進めようとしていた矢先、上から打ち切りの命が下った。納得のいかないマリアは独断で捜査を開始する。もちろん蓮もこれ以上暴走しないようにお供するつもりだ。

サンドフォードタワーを訪ねた二人だがアポイントもなく受付で門前払い。仕方がなくヒューの耳に入る可能性にかけてタワー内で情報収集に当たることにした。二手に分かれて聞き込みをしていた所、爆破テロに巻き込まれてしまう。さらに最悪な事にマリアが閉じ込められてしまった。

▼グラスバードⅡ

一方、トラヴィス、チャック、イアン、セシリアはいつの間にか意識を失い、迷宮のような場所に閉じ込められていた。パメラがヒューから伝言だと『その答えはお前たちが知っているはずだ』意味深な言葉。誰に向けて発していたのか？

迷宮探検の後休憩することにして各々引き上げていった。しばらくして、ふと全体の壁がその役割を放置して透明になり、血だまりに横たわる一人の社員の姿が飛び込んだ。

それは、殺害されたトラヴィスだった。

迷宮で起きる連続殺人のパートとマリアと漣が捜査するパートを交互に描き、幕間を取り入れた構成になっている。これは前作同様な構成になっていますね。今回もラストにはどんな驚きがまっているのか楽しみですね。

感想／まとめ

面白かった。今回もマリアと蓮のコンビは健在でしたね。このシリーズの魅力のひとつですから。いつにもましてハラハラドキドキが止まりませんでしたよ。今回は特にシリーズを順番に読んでいくことをおススメします。ジェリーフィッシュや青バラが役割を持っていましたからね。

迷宮にて次々といなくなるメンバー。そして、誰もいなくなった的に進む物語。犯人はどこに消えたとお馴染みの展開になるが、いや、あの人だったのか～。

硝子鳥の正体がまさかでしたね。強引さもありましたが、すべて持っていかれてしまった。そしてプロローグに繋がるのか。姿を消すために使用された道具、ドラえもんの道具に似たようなものありませんでしたっけ？

次回作では硝子鳥がどんな感じで再登場（願望）するのかも楽しみになりましたね。