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市川憂人さんの「ブルーローズは眠らない」を読んでみた 感想

今回紹介するのは市川憂人さんの「ブルーローズは眠らない」です。「ジェリーフィッシュは凍らない」に続くシリーズ第二弾。今度は幻の青いバラが誘う。またマリア、漣コンビに会えるなんて最高だね。

 ブルーローズは眠らない

▼プロローグ

山間の一軒家で火災が発生。現場検証を行っていた捜査員が日記のようなものが発見した。

パパやママが死んだ。あいつが襲ってくるのではないかと恐怖が綴られた日記を、、、

 

▼プロトタイプ

両親に虐待されて命の危機を感じ逃げ出してきたエリックは、遺伝子研究をしているテニエル一家に保護された。研究者のテニエル博士、和やかで親しみ溢れるアルビノの女性ケイト。娘であり、アルビノを受け継いだ少女アイリスの三人家族。倒れ込んでいたエリックを着替えさせる時に身体の痣を見られ、鬱憤を晴らすようにこれまでの事情を吐き出した。そしてしばらくの間、博士の助手として居候することになった。

 

博士は世界で初めて青いバラを完成させており、こういった研究の手助けをエリックはすることになった。基礎知識を植え付けるため博士の講義をアイリスと一緒に受ける日々。エリックにとって容赦ない内容だったが、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。講義の後は使用人のような仕事を与えられたが、受け入れてくれている感が心地が良かった。アイリスとも仲良く?なりつつあり、短い時間だがここでの生活はまごうことなき幸福な時間だった。

 

しかし激しい雨が降り注いだある日、終わりは唐突にやってきた。エリックを追っている警察とケイトの実家と付き合いがあった牧師の二人の訪問者。そして、博士が実験体72号と呼ぶ不気味な存在が交わる時、テニエル家に悲劇が襲う。

焼かれた死体を皮切りに故意に切られた電話線、行く手を塞ぐ土砂崩れに見舞われて脱出することが不可能になってしまった。天候が回復するまで屋敷で待つことに決めたが新たな犠牲者が、、、

 

▼ブルーローズ

不可能と言われていた青いバラの存在をアマチュア園芸家のロビン・クリ―ヴランド牧師と生物工学科フランキー・テニエル教授らの研究グループが同時期に発表した。両陣営はお互いの言い分に反論している。

 

ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回されたマリアと蓮は、同事件で初顔合わせをしたドミニクからテニエル博士とクリ―ヴランド牧師を探って欲しいと依頼を受けた。文句を言いながらも所長の許可もあっさり下りたことから、青バラを生みだしたテニエル博士との面談へと向かった。

テニエル博士が所属する大学でアルビノの少女アイリーンに案内された先で同事件で知り合った軍人のジョン少佐と再会した。彼にも何やら目的があるようだ。

その後ロビン・クリ―ヴランド牧師とも面談して約束の依頼は果たしたが、翌日フランキー・テニエル博士が殺害さているのが発見された。

施錠された温室の中で切断された博士の首が転がっており、出入り口の扉には血文字が書かれ、バラの蔓が壁と窓を覆い密室状態になっていた。その中で手足を縛られ眼隠しと猿轡を施された状態のままでアイリーンが残されていたのだ。

 

事件後駆け付けたドミニクから渡された書類。そこに書かれていた内容は、突飛すぎて理解しずらく、困惑するばかりだった。

 

テニエル一家とエリックに起きた悲劇パートとマリアと漣が捜査するパートを交互に描き、幕間を取り入れた構成になっている。これは前作同様な構成になっていますね。複雑過ぎず絶秒に絡み合うシナリオがお見事です。

 

感想/まとめ

面白かった。前作同様マリアと漣の活躍も見れて最高でしたね。

不可能を可能にしたというひとつのストーリーとして好きでしたね。遺伝子の話はちんぷんかんぷんでしたが。

 

今回テーマは「青いバラ」です。花に興味がなく疎い僕でも特別な響きがあることは知っていました。長年不可能といわれてきた青いバラを、技術の発展と世界研究者たちによって誕生させた。(この小説を読むまで誕生までの詳細は知らなかったが)

花言葉は「夢叶う」です。あきらめない、不可能を可能にするという意味合いが込められていて勇気がもらえますね。

 

さて事件の方は、前作以上にとにかく詰め込まれていましたね。なぜ同時期に不可能とされていた青いバラを生み出すことができたのか。切断された博士の首、扉に書かれた血文字、バラの蔓による密室、残されたアイリーン。とにかく謎だらけです。

それが全て明らかになるんですから、清々しい気分ですよ。

 

まさかあの人が〇〇だたなんて、読んでいて気づきませんでした。アイリーンはあの人たちの子供だったんですね。明かせない正体にもやもやしたが、これがあの人の答え。だからエピローグの涙は、いろんな意味で印象深かったですね。

 

それにしても日本人の研究者があっけなく退場したのが悲しかった。