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島田荘司さんの「セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴」を読んでみた 感想

今回紹介するのは島田荘司さんの「セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴」です。クリスマスの時期に起きた不思議な事件。消失した靴の行方はどこに?御手洗潔シリーズです。

 セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴

石岡が御手洗と知り合ってまだ間もない、昭和57年秋ごろ。世間を騒がした「占星術殺人事件」直後のクリスマスごろのお話し。二人は馬車道に引っ越してきて一緒に暮らし始めていた。

 

11月も終わりが近づいたある日、一人の婦人が訪ねてきた。彼女は高沢秀子と名乗り、親友の折野郁恵さんの様子がおかしいとしきりに話していた。今日開かれたバザーで顔合わせたら普段の明るさはどこかに置いてきてしまったように大人しく、顔は真っ青で会場の隅でじっとしていたらしい。そして正午から降り出した雨を見て急に倒れてしまう。一緒に来ていた息子さん夫婦も雨を見て顔面蒼白。いったいなぜだ。

さらに母親が倒れて、死ぬか生きるかの分からない状況なのに救急車に乗らなかった息子。どうしてなのと理由を聞いたら、雨が降って十字架がなくなってしまったからだという。

 

その後も息子さん夫婦は会場に留まり、ずっと時計を気にしながら雨がやむのを待っていた。バザーをお開きにしようと決めていたチャイムが鳴った頃、なんとご夫婦は雨の中、商店街の道端にある花壇を掘っていた。異常にもとれるその作業を終え、病院に向かった彼らが去った後に確認したら、白い小石を土の上に並べて十字架に描いてあった。そういえば深夜にバザー会場である教会の周辺を両手を前にして歩く謎の人物がいたという。関係性はあるのか。

 

ここまで説明したら、あら、もうこんな時間と帰りの準備を始めた高沢さん。事件の依頼ではなく世間話しのつもりでいたらしい。しかし、御手洗は帰宅する彼女を引き留めてこれは大事件ですよと言った。

 

御手洗は郁恵さんの孫娘が誘拐されている察知して竹越刑事に応援を仰いだ。自宅に急行して所在確認することはできたが、指摘した通り監禁されていたらしい。しかし両親は娘の勘違いだと取り合わない。怪しいな。

そして郁恵さんの孫娘に宛てたメモ。そこに書かれていたセント・ニコラスのダイヤモンドの靴が真実ならその行方はどこに?

地上や地下と探索はするが一向に掴めないでいた。御手洗本人はそんな幻想で最初からないんだよとあきらめムード。しかし石岡は厳しく追及する。また何か隠しているのではないかと。

場の流れで孫娘・美紀ちゃんと三人で後楽園遊園地へと遊びに出かけた。そこでサンタクロースの話題になり、彼女の元には一度も家にきたことないよとキッパリ答えた。それを聞いた石岡の説得により女性でも子供には弱いようで御手洗もようやく重い腰をあげた。

今年はきっとくるよ。約束しようと堂々と宣言したのだ。明日が楽しみだ。

 

感想/まとめ

面白かった。御手洗さんの活躍がまたひとつ読めてよかった。石岡さんとのコンビはやっぱり最高だ。女性嫌いな御手洗さんでも子供には甘いようで、美紀ちゃんのためにクリスマスプレゼントを用意するシーンにほっこりとした。彼のまた違った一面が見られて良かった。温かい気持ちになれるラストで読後感もグー。

 

雨が降ることにより消失してしまう十字架の謎と深夜に現れた謎の行動をする怪しい人物。このふたつがこの物語の鍵となる。加えてロマノフ王朝、マリア・ルス号事件、榎本武揚、エカテリーナ2世と豊富な知識に脱帽と尊敬して楽しむことも忘れずに読むことが出来て勉強になりました。

 

今丁度読んでいる「ロシア幽霊軍艦事件」を先に読むべきでしたね。こちらもおススメですよ。