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宮下奈都さんの「羊と鋼の森」を読んでみた 感想

今回紹介するのは宮下奈都さんの「羊と鋼の森です。ピアノ調律師との出会いが一人の高校生の人生を変えた。調律師としていろんな人と出会い成長していくストーリー。あなたも森を感じ取ってみませんか?

 羊と鋼の森

高校生の外村は先生から頼まれてお客様の対応をすることになった。調律師の方だと先生は行っていたが彼には何の調律をするのか想像がつかなかった。実のところ興味がなかったし、案内したら帰るつもりでいた。約束の時間に現れた人物は江藤楽器の板鳥と名乗り体育館に案内して後、ピアノの前で作業を始めた。

体育館から出ようとしたときピアノが鳴る音に足を止め、何故か知らないが心地の良い懐かしい思いが蘇り、邪魔にならないようピアノの傍へと向かった。

外村は森の匂いと比喩してピアノの音が変わっていくのを全身で感じ、時が経つのも忘れてただ黙って見ていた。

作業が終わり名刺を差し出してよかったらピアノを見に来てくださいと帰って行った。

忘れることができず、一度店を訪ねてみた。そして弟子にしてくださいと直訴した。

弟子は断られたが彼が勧めてくれた本州の学校に進学して、二年間みっちりと調律の技術を学んだ。卒業後は、北海道へと戻り板鳥が働いている江藤楽器で調律師として採用が決まった。

 

入社5カ月が過ぎ、先輩の柳さんに同行して初めてお客様宅へ調律に向かいます。補助役としての名目だが実際のところは見学。まして緊張するのも当然、技術だけでなくお客様とのやりとりを学ぶことも重要だ。

ここでの出会いが外村にとって大きく関わっていくことになる。

双子の和音(かずね)と由仁(ゆに)だ。顔はそっくりだが演奏するピアノは正反対。柳さんは妹の由仁の演奏の方が情熱的で好みらしいが、外村は姉の演奏の方が特別に感じていた。普通の演奏だと柳は評価していたが、訴えて来たのはむしろ彼女の普通に見えて普通ではない音。調律師としてやりがいを感じ取っているのかもしれない。

 

この仕事に正しいはないと板鳥は言う。コツコツと地道に学んでいくことが大事。もちろん失敗することもある。お客さんに怒られることもある。努力が結果に結び付かないことに焦り、求められている音にするため妥協することもいいことだと教えられる。理想と現実のギャップに戸惑うこともしばしばある。とにかく色々な情報が入るたびに悩み葛藤する姿にほんとに真面目な青年なんだと伝わってくる。だから応援したくなる。

板鳥さんの理想の音を表している、原民喜のこと知りさっそくメモを取る。仕事で忙しいながらも外村のことを気にしてくれるし、職場の人たちも良い人で恵まれている。

環境は素晴らしい、後は外村がどう生かすかに懸っている。

 

あの双子に悲劇が襲う。由仁がピアノを弾けなくなってしまったのだ。その影響で和音も弾かなくなってしまった。アクシデントでの将来ピアノをどういう立場で演奏していくか分岐点に立たされていた。姉妹もまた子供から大人になり始めていた。

そして、和音の

「ピアノで食べていこうなんて思っていない」「ピアノを食べて生きていくんだよ」

かっけー。鳥肌が経ちましたよ。ほとんど同じような文章なのに響きが違う。強くなった和音がそこにはいた。由仁もまた和音の調律師になりたいと新たな目標ができた。

 

お世話になっている柳さんが結婚することになり、ピアノの調律を外村に頼みこんだ。一度は断ったが、和音が演奏者だと知り引き受けることにした。

わがままになるのも時にいいことだ。

これまで外村の立場から家族の顔色を伺い遠慮と言うものがつきまとっていた。

それも優しさの一つだが、正しいことばかりではない。欲求に素直になることも大切な事だ。祖母の葬式で弟の会話にも胸が打たれましたね。弟との劣等感の蟠りが解け出した瞬間とも言える。姉妹ばかりではなく兄弟ってのもいいね。

 

結婚式を終えて外村が目指すべき調律師が形が見えてきた。

それは、、、

 

感想/まとめ

面白かった。評価されている理由が分かりましたよ。タイトルの意味にも納得。

起伏がそれほどまでないが、比喩や描写が素晴らしい。優しさに溢れていました。心が浄化されていく感じがまたいい。

表現する難しさ、ブログを書いててつくづく感じる。今すぐにでも上達したいが、これもまた地道にコツコツなのでしょうね。野球用語の飛び出し、野球好きなのかな?ヒット・エンド・ランと言っても一般人は知らないでしょうね。

ピアノだと演奏者ばかり目が行きがちですが多数の人達によって支えられているんですね。

純粋でまっすぐな子が劇的な出会いで人生を決めてしまったがこの道は間違いではないことを噛みしめていて幸せそうで良かった。好きな事を見つけることも才能の一つですよ。それに気がつかず一生を終えることなんてザラだもの。

個人的には双子ちゃんとどうなっていくのか気になったりならなかったり。

 

今日も地道にコツコツ頑張ろうと最後に締めて終わりにしようと思います。

 

 

柳さんと外村君で双子の評で意見が別れましたが、天才を育てるのは~ナルトの一幕であったことを思い出しましたね。最後の外村君みたいな人がたどりつけるで、ヒカルの碁テニスの王子様が浮かんできた。マンガからもろに影響を受けている感想です。