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大村友貴美さんの「首挽村の殺人」を読んでみた 感想

今回紹介するのは大村友貴美さんの「首挽村の殺人」です。医者不足の村へと東京から派遣された待望のお医者さんの着任に歓喜の声が挙がるが、同時期から謎の変死体が見つかる。やがて恐怖の連続猟奇殺人事件へと発展していく。

首挽村の殺人

過疎地の村ー鷲尻村へ医者の滝本は短期間の赴任を条件に働くことになった。急死した前任の杉先生の後任が決まるまでと決めていたが、こんな田舎で山奥だとそう簡単に決まらないなぁと着いて間もなくため息と共に嘆いた。

杉は、滝本の同僚でもあった。熊の被害に遭い崖から転落死した事故として処理されたが、村人の話を聞く限り何かありそうな雰囲気も出てきた。秘密裏に探っていく必要があるだろう。

下宿先は、昔マタギの人達を泊めていた旅館にお世話することになった。マタギのシカリ(頭領)老夫婦と東京の大学に通う孫娘の彩が迎えてくれた。関係者の中では特に彩と関わっていくことになる。

お寺で住職や村議会議長、商工会のお偉いさんを交えて熊鍋を頂いた。そこで現場には弁当箱が二つあったとまたひとつ杉の情報を得られた。

 

▼第一事件

連日の大混雑を捌いてお昼休みを取ろうとしていた滝本の元へ緊急連絡が入る。真っ白な雪にタイヤをスリップしながらも何とか操縦して現場へと急ぐ。突然ひらけた場所に出た、そこにはパトカーや数台の車が集まっていた。ここからは徒歩となり雪と格闘しながら前進して目的地へとなんとか到着。多くの人だかりが見えたが、皆表情は強張り、沈んでいた。彼らの前に埋もれた人の足。雪に半分埋もれた顔は、住職のものだった。熊取りの罠にかかり凍死したのだ。

罠を熟知している人が陥る事故としてはおかしい。誰かが疑われると狭い村ではすぐ噂が広まってしまう。村人のなかには、呪いのせいだと信じている者まで現れた。後に分かったが何者かの痕跡が残されていたが、はたして。

 

赤熊という巨大な襲われる滝本。何とかに逃げ切ったものの体当たりされた車はひどいありさま。あんな化物相手ではひとたまりもないということが身にしみてわかった。彩の祖父を中心に緊急会議が開かれ、対策案が練られた。

また不可解な変死体。第二の事件がおきてしまう。

赤熊と猟奇事件の二つが村を襲う。忘れられた忌まわしい過去が関係しているのか、赤熊との対決はどうなる?

そして、滝本妹が鷲尻村へと足を運んだ。彼女の過去が解決への鍵となり終盤へと向かっていく。

 

感想/まとめ

面白かった。

村が深刻な問題と歴史絡みな事件、恐怖心たっぷりの赤熊との対決が加わり読み応え抜群な小説でした。村、過去、伝承、見立て殺人が好きな方はより楽しめるかもしれませんね。

ただ、登場人物の最後までしっくりとした何かが掴めなかった。感情輸入したりやこのキャラ好きだなと思えることができなかったのが残念。動機はう~ん、、、意外な犯人だったことに驚きはしましたけどね。

首挽きの由来は、重いものだったようですね。すぐ後ろの描写で彩の心境の移り変わりが物語っている。