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津原泰水さんの「ルピナス探偵団の憂愁」を読んでみた 感想

今回紹介するのは津原泰水さんの「ルピナス探偵団の憂愁」です。ルピナス探偵団シリーズ第二弾。少女、少年の友情は永遠に不滅だ。

 ルピナス探偵団の憂愁

高校時代から三人の少女と一人の少年(吾魚彩子、桐江泉、京野摩耶と祀島龍彦)は、よく冗談まじりに「ルピナス探偵団」を自称していた。

大学卒業してキリエは、彩子の本をこの世に出すために編集者となり、新人ながら担当になる。ご本人の彩子は、小説家としての活動はまだ芽が出ず、アルバイトしながら生計を立てていた。祀島は外国へと拠点を移して活動、摩耶は短大を卒業してすぐ結婚していた。

離れ離れになった皆を集める知らせが入る。探偵団のうちの一人、日影摩耶(旧姓、京野摩耶)が白血病にため25歳という若さでこの世を去った。

これから始まる物語は探偵団としての彼女たちの最後の活動記録である。

 

▼百合の木陰(卒業後のお話し)

白血病で亡くなった摩耶のお葬式で親戚一同の摩耶は恨まれていたことを知る。外国から駆けつけた祀島を迎え入れ、恨まれた理由を解明するためにルピナス探偵団復活だ。

病気が明らかになり死が迫りつつある中での摩耶の理不尽な要求。その意味するものとは何か。親友キリエが流した涙と、なんだ、会えたんじゃんという言葉。いつまでも心の中で反芻していた。

 

▼犬には歓迎されざる(彩子大学時代)

彩子と祀島は、通っている大学の教授から夕食に招かれてお邪魔した。実りあるお話しを頂き貴重な時間を過ごすことができた。しかしこのままで終わらないのがこの二人。帰宅途中にサイレンに祀島が反応。教授宅へ戻ると泥棒騒ぎがあった。これを予想していたという祀島。カギとなるのは犬?だと。

 

不二子(彩子姉)の同僚で天敵の椙村さんが事件を担当するのですが、彩子との絡みが面白い。

姉を通してお互い噂が筒抜け、椙村さんからの

「あなたのお噂もかねがね。なんでも、殿方同士が組んずほぐれつする小説がお好きだとか」

笑ってしまった。

男性はエロに走り、女性はそっちに走るのは既定路線なのかな。

祀島くんが分かっていないのが不幸中の幸いでしたね。

不二子と同居している間は、彩子にはプライバシーが存在しないのでしょうね。

 

▼初めての密室(彩子大学時代)

キリエから誘われて合コンへと向かった彩子。なぜか不二子も一緒。場の空気は微妙なものになったのは語るまでもないが、、、

その席にある事件の関係者がいた。まだ、今のように祀島くんと言葉を交わしたことがなかった時期に遭遇した事件。彩子の活躍によって解決へと導かれたが、重大な事実があったと庚午さんから聞かされた。

四年後新たに祀島くんを加え、「密室」殺人事件を振り返ってみると意外な真相が浮かび上がる。

ここまで出番が少なく大人しかった摩耶の活躍にも期待大です。

 

▼慈悲の花園(卒業式)

卒業式を目前に控えたある日、ルピナス学園理事長が殺されてしまう。

ルピナス探偵団学び舎での最後の事件に挑む!

 

 

ラストの4人で永遠の友情を誓ったシーンで号泣。

キリエと摩耶の仲が良くてほんわかする。

祀島くんの立ち位置が完璧すぎて嫉妬すら覚えないですよ。

 

感想/まとめ

主要メンバの一人の死から始まり、時を遡って卒業式までを振り返っていく短編集。

構成が完璧すぎて、効果的に何倍にも面白さを倍増してくれた。

皆で謎を解いたあの日々は、今でも奇蹟のような輝きに満ちている

この文の通り、もう二度と戻ることがない青春。しかし歩んだ道は色褪せないで永遠に残ることでしょう。

 

いつかルピナス探偵団に再会できる日を僕も楽しみに待ちたいと思います。