恩田陸さんの「ブラック・ベルベット」を読んでみた 感想
今回紹介するのは恩田陸さんの「ブラック・ベルベット」です。神原恵弥(かんばらめぐみ)シリーズ第三弾。依頼でT共和国を訪ねた恵弥にまたも災難が起こる?
ブラック・ベルベット
過去に登場した主要人物が勢ぞろいします。「MAZE」級友の時枝満、「クレオパトラの夢」双子の妹和見、多田直樹、慶子。そして、初登場恵弥の元恋人、橘。
過去キャラ登場はシリーズ物ならではの楽しみ方の一つですね。
前作「クレオパトラの夢」で知り合った多田直樹からT共和国で消息を絶った博士を探して欲しいと依頼を受けた。博士の名は、アキコ・スタンバーグ。彼女は会議と休暇を兼ねてT共和国に一週間の滞在予定だったが帰ってこない。ジョエル(夫)には調べたいことができたから帰国が遅れるけど心配しないでとメールで連絡が入った。
ジョエルと多田は古い友人関係。彼自身T共和国へ行きたいが、今すぐ離れられない。そんな時、恵弥がT共和国へ行くと聞いて頼みにきた。
T共和国入りした恵弥を待っていたのは時枝満だった。あちこち旅行していたが、この地が気に入って住み着き、焼き鳥屋を経営している。満から、全身黒い苔に覆われた状態で亡くなった人がいると噂を聞いた。ネットを検索してもそれらしき情報が出てこない。
さらに不意打ちで元恋人の橘との再会を果たす。距離感がつかめず、お互いけん制しているような雰囲気になる。満の話題にもなり、高校の同級生が日本から離れた地で珍しい組み合わせができたものだ。
恵弥がT共和国にきた目的はD・Fと呼ばれるものを探すこと。最高にハイになれて、ダメージがないクスリ。日本人が開発に関わっていたと噂もあった。
DEATH FACTORY(死の工場)名前からしてあやしさの臭いがプンプン漂っていますが、はたして。
アキコ・スタンバーグ博士を尾行していた。恵弥には特殊な才能があり、地図を記憶することが得意だし、見たものを写真のように記憶することもできる。またひとつ彼?ことを知ることができたが、その恵弥であっても迷宮のようなこの街には苦戦していた。見失う前に接触することに決め、背後から近づこうとした矢先、何者かが彼女の背中に突進。不快な音と共に崩れ落ちた。
突如現れた血のついたナイフを握った男に周囲はパニック状態。人だかりを押し分け、倒れている顔を覗き込んでみるが横たわっていたのはアキコ・スタンバーグ博士で間違いなかった。
恵弥は偶然というものを信じない。多田のせいで巻き込まれた。
一言文句を言ってやろうと電話をかけたが、何故か電話にでたのは警察の人。昨日交通事故に遭って現在手術中だと知らされる。
多田には悪いが当初の目的に専念つもりでいたが、冷静に考えてみると二つの件につながりがあったとも思える。
とりあえず彼女の足取りを追ってみることにしたが、どうなることやら。
この後もさまざまな方面から巻き込まれる恵弥。
多数の謎が最後にどうつながっていくのか楽しみましょう。
感想/まとめ
神原恵弥(かんばらめぐみ)シリーズ第三弾になります。
本屋さんで文庫本が発売されていたの目にしたのがこのシリーズとの出会いでした。
あらすじを読んでぶっちゃけると神原恵弥という名前からして女性だと思ってました。元恋人と再会してほろ苦いストーリーが広がっていくものだと勘違い。
蓋を開けてみれば、強烈な個性を持ったキャラで御出迎え。出鼻をくじかれた感がありましたが、今ではすっかりそのキャラの虜になっています。
このラストは大好き。
キャラ物としても楽しめるので是非。
続編希望です。