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宮部みゆきさんの「名もなき毒」を読んでみた 感想

今回紹介するのは宮部みゆきさんの「名もなき毒です。杉村三郎シリーズ第二弾。

 名もなき毒

今多コンツェルン会長室直属グループ広報室で働く杉村三郎は困り果てていた。アルバイト採用で働いていたが頼れる戦力で活躍していた女子大生のシーナちゃん。学業を理由にこの春辞めてしまい社員一同残念がっていた。梶田姉妹の事件で杉村個人もお世話になっており、彼女の助けがなければあの一件があんなふうに落ち着くことはなかっただろう。

そんな杉村の悩みの種は、彼女の後釜として採用した原田いずみという女性のことだ。アルバイト社員とはいえ軽くない大企業今多コンツェルン。面接の際、印象も悪くなく、真面目でハキハキとしており、落ち着きをみせていた。

しかしいざ採用してみたら仕事を満足にこなせず、社員とはささいなことで口論する日々。狭き門をくぐり抜けて採用された彼女がトラブルメーカになろうとは予想していなかった。

 

今多コンツェルンの会長・今多嘉親宛てに原田いずみが嘘八百を並べた手紙を送ったことから、杉村は責任をとってこの件を処理することとなる。履歴書に書かれたデタラメだらけの経歴を辿っていくと、原田いずみを調査したことがある私立探偵の北見一郎と知り合う。彼から原田いずみ詳細や対処方法などを授かり事務所を後にした。

帰り道北見の元を訪ねていた女子高生・古屋美知香が倒れて救急車を呼んだ。後日母親の古屋暁子からお礼とお詫びの席で栄養失調が原因だと聞かされる。世間を賑わしている一連の無差別殺人事件の犠牲者の遺族で娘と孫らしい。母親の暁子は警察に疑われており家族間にひびが入っていることが見て取れる。

 

ほうっておけない杉村は、美知香の気持ちの整理のため書くとい行為を勧めてみた。梶田姉妹の前例を挙げ、そのお手伝いを買って出たのだ。こうして予期せぬ形で事件に足を踏み込むことになった。

一方、原田いずみの標的が広報室から杉村へと移り悪意の魔の手が迫ってくる。

 

そしてタイトルの「名もなき毒」の意味とは。

 

感想/まとめ

杉村三郎シリーズ第二弾。

茶店のマスターも杉村さんが事件を呼びよせているんだよと言い表しているのに納得。探偵の素質があるのでしょう。北見さんが残した言葉をどう捉えるか杉村さんは探偵になるのか、気になるところですね。

事件を通して感情や思惑から協力関係が生まれるが、どんな形でも決着すると離れたがる。学が蓄積される感じがいいですね。

 

「毒」の所以が至る所に登場しますが、土地は人間の歴史。

「そこに住む人間の営みが刻み込まれてる。でも、良いことばっかりとは限らない。邪悪も染み込んでる。それが毒だ」

個人的に一番しっくりした答えでしたので紹介。

 

今多嘉親からみて杉村さんは毒がないように見えるのでしょう。野望を抱かぬ平凡な人間。娘・菜穂子の幸せを考え、平穏な安心な暮らしをを約束する男。

だが、幸せと言う言葉は出てくるが、読んでいて杉村さんの幸せに影が差すような感じが少し引っかかる。幸せを演じている、、、う~ん。気のせいかな。