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近藤史恵さんの「スティグマータ」を読んでみた 感想

今回紹介するのは近藤史恵さんの「スティグマータ」です。ロードレース小説「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」に続く第四弾。ヨーロッパ各地を転々して今度の舞台はフランスだ。チカはどうしているだろう?

さっそく本編へいってみよう!

 スティグマータ

スペインのバルセロナからはじまり、ヨーロッパ各地のチームを転々としてきた白石誓(チカ)現在はフランスのチームに所属している。

ある日、トレーニングから帰宅したチカを待っていたのは元チームメイトの伊庭和美だった。彼もまた海外に拠点を移しイタリアのチームに所属している。

用件を聞き出してみたらフランスのチーム・ラゾワルへ移籍するとのこと。短時間での移籍は賢いやり方ではないロードレースの世界。敵も作るし、信用も失う。そのデメリットを差し引いてもグラン・ツールに出たいという気持ちの方が勝っていたのだ。

伊庭が移籍するチーム・ラゾワルでかつての王者で、ドーピング告発によりレースの世界を去ったメネンコが復活するという。

衝撃的なニュースを残し伊庭は去って行った。

 

チカが所属しているオランジュフランセに、ニコラ・ラフォンを移籍してきた。様々な事情で移籍が激しいロードレース世界ならではの話だ。3年前のレース(エデン参照)で彼を襲った不幸な事件。彼もチカ同様、一生消えないであろう傷を抱えたままレースで戦っているのだ。

 

メネンコが会いたいと伊庭から伝えられて驚くチカ。実際に対面して用件を聞いてみると脅迫されているので協力関係を仰ぎたい。チカのチームメイト、アントニオ・アルギからも恨みを買っているのでさりげなく見張って欲しいと頼まれた。暴力沙汰でチームが分解されるのはチカも困るのでその場で契約成立した。

 

ツール・ド・フランスの出場者に選ばれたチカ。ニコラはもちろんアルギも選ばれていた。アルギと親しくなり、彼の妹、ヒルダを紹介された。日本へ留学していた経験があるらしく、流暢な日本語に驚いた。彼女はメネンコを毛嫌いしており、アルギがメネンコを恨む理由である事件の詳細も後に知ることとなる。

 

そして運命のレースへと移っていく。

ある選手が漏らしたイストワール。歩んできた物語、歴史。

復活したメネンコの目的、狙いとは何か。

衝撃のラストに期待したい。

 

感想/まとめ

チカに出番が戻ってきたシリーズ第4弾。

ニコラやミッコといったお馴染みの選手に本場で選手生活を始めた伊庭。主役級が勢ぞろいする今回も楽しんで読めたことは間違いない。

伊達の活躍に嫉妬を感じながらも、ステージ優勝を目指せる立場になってもなおアシストに徹する姿勢。これこそがチカだと思う一方、読者として一度は栄光をつかみ取った彼を見てみたい気持ちもあり複雑ですね。

チカにも女性の影がちらつきましたね。女性が登場してもすぐに退場のパターンがお馴染みでしたが今回踏み込んできましたね。

チカも伊庭も年齢的に引退する時間が刻一刻と迫っているのでシリーズの終わりも近付いているみたいでさみしい。シリーズ物特有の愛着が湧いてきているのでまだまだ続編が生まれることを希望しています。

 

多くの敗者と一握りの勝者。だからこそ、スポーツに人は熱狂するのだ。

いい言葉だね~