市川哲也さんの「名探偵の証明」を読んでみた 感想
今回紹介するのは市川哲也さんの「名探偵の証明」です。
名探偵の証明
屋敷啓次郎は行く先々で事件に巻き込まれるも驚異の解決率を誇る名探偵である。
今回の事件も刑事であり相棒の武富竜人の協力もあり鮮やかに解決したのであった。公私ともに充実した毎日を送っており名探偵屋敷啓次郎の全盛期といえる。
夢の中から突如、現実へと移される。
かつての面影はなく年齢と共に衰えた男がここにいる。探偵の仕事は続けているもののほとんど依頼は無く休業中。今では家賃も払えずお金の工面に苦労している。
ここまでの落ちこぼれには理由がある。思考能力が低下してきて事件解決に時間がかかるようになってしまった。そして、ある事件の犯人に襲撃され、不幸中の幸いで何とか一命は取りとめたものの身体のあちこちにダメージを負った。膨大な時間をリハビリに宛て生還したがあらゆる面で影響を免れない。こうして次第に名探偵屋敷啓次郎は表舞台から消えていったのだ。
刑事を定年退職した竜人も心配して顔を出してくる。今でも応援してくれる仲間がいる。そして探偵事務所で秘書であった女性と結婚して娘もいる。現在は別居中だがその妻に、今回の依頼を最後に解決することができなければ引退すると宣言して逃げ道をなくした。探偵業を賭け、覚悟を決めて竜人と共にある別荘へと向かうのであった。
蜜柑花子への脅迫状が送られてきて啓次郎と竜人が呼ばれた。
蜜柑花子は今をときめくアイドル探偵で人気者だ。
そんな彼女と初対面すると何と啓次郎のファンだと公言した。想定外の告白。竜人なんかメラメラにライバル意識を燃やしていたのに唖然としていた。
しかし和やかなムードは続かなかった。密室で殺された関係者。それは屋敷啓次郎の探偵業を賭ける事件への幕開けだった。
事件は解決されるが啓次郎は結局引退。
家族仲良く暮らすことになるが、、、
それでも逃がしてくれない運命。
名探偵という鎖が重くのしかかる。
感想/まとめ
名探偵の宿命、栄光と転落の人生。
賞賛を超えると批判を味わう。
「名探偵」とは何かを訴えた作品ですね。
啓次郎VS蜜柑の展開にならず、啓次郎のファン設定は想像外でした。
屋敷啓次郎の人生は幸せだったと言えますね。