三雲岳斗さんの「少女ノイズ」を読んでみた 感想
今回紹介するのは三雲岳斗さんの「少女ノイズ」です。優等生を演じる少女と欠落した記憶を抱える青年が出会い、謎を追う青春ミステリー短編集。
少女ノイズ
欠落した記憶を抱え、殺人現場の写真に執着を持つ青年と、心を閉ざして、理想的な優等生を演じつづける孤独な少女。進学塾の屋上で出会った二人が見つめる恐ろしくも哀しい事件の真実とは何か?そして、少女のつけた巨大なヘッドフォンのコードは、どこにつながるのか?冷徹なまでに美しい本格の論理で解かれる最大の謎は、エンドロールのあとの二人の未来――。
高須賀克志(スカ)は、お世話になっている大学の教授から塾講師のアルバイトをしないかと誘われた。採用試験はあっという間に終わり、高校二年生、斎宮瞑という女の子を担当することとなった。
スカは、人が殺された場所の写真を集めるといった特殊な趣味を持っていた。その原因は欠落した過去の記憶にあると思われる。
瞑はお気に入り場所である屋上でいつも横になっていた。彼女は、基本的にスカには関心はなく一方通行の会話だけが続いたが、興味を惹くような話題はというとスカ自身の過去の体験だった。
瞑は、あるクイズを出してきた。その答えを解いた時、記憶を覆っていた靄はおのずと晴れていったのだ。
不仲の両親をつなぎとめているのが瞑だった。成績優秀の生徒会長役を、家では聞きわけのいい娘役を、演じている瞑にとって唯一心休める瞬間が塾の屋上だったわけだ。
彼女はちょっと不器用な普通の女子高生。
事情を知ったスカは自然と足取りも軽くなり今日も屋上への階段を登るであった。
感想/まとめ
青春ミステリーとの情報を得て読み始めた小説。青春(恋愛)面の色が強かったですね。
お互いを補っての持ちつ持たれつの関係、キャラクター小説としての評価はもちろんミステリー小説としても面白かったですよ。
ラストシーンでのヘッドフォンの使い方がベタな感じだけど最上級の愛情を見せた姿にニヤニヤしてしまった。