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島田荘司さんの「異邦の騎士」を読んでみた 感想

今回紹介するのは島田荘司さんの「異邦の騎士」です。御手洗潔シリーズ第三弾。時系列的にはこれが一番目ですね。御手洗さんと石岡君の出会いが描かれています。読む順番としては、発行順に読むことをおススメします。

 異邦の騎士

記憶喪失の男が公園のベンチで目覚める所から物語はスタートします。

自分のことが分からず、何をしていたのかも不明。もちろん何故この場所にいるのかも分からない。記憶がぽっかりと抜けていて困惑する男。

落ち着きを取り戻し、手がかりを探してぶらぶらと歩き始めた。

しばらく歩いて、辿りついた飲み屋街で男に絡まれていた女性を助け出した。

彼女の名前は石川良子。ヒモ男から逃げ出すために引っ越す予定で、その際手を貸して欲しいと頼まれた。

引っ越し後、お互い惹かれあっていたことを告白し、新天地で共同生活が始まった。

 

男は石川と性を名乗り、工場での仕事を始めた。良子はケーキ屋で働き、貧しいながらも幸せな生活を送っていた。記憶の方は相変わらずだが、鏡を見ることができない症状が少し気になる。

ある日、工場への行き帰りに電車の窓から見える「御手洗占星術教室」を訪ねてみた。御手洗は不思議な男だった。見るからに変人で上下のテンションの差が激しい。事情を話してみると、友人になり、時間をかけて付き合えば生年月日を割り出せますよと自信満々の様子。それならばと約束をして別れた。

その日から度々御手洗を訪ねるようになった。音楽を通じて馬があったのだ。

 

この辺から良子との関係に暗雲が立ち込める。貴重な情報源になる運転免許書が見つかったが、その住所へ行かないでと要求。さらに御手洗に会いに行くことに対しても嫌な顔をするようになる。

何事か思いつめたように、塞ぎこむ良子。後日、良子自身の口から免許証の住所へ行ってきてと激しい口調で言われ、思いもよらない提案に戸惑いながらも訪ねることにした。

 

物語の折り返し地点、ある人物のある計画に知らぬ間に巻き込まれていた俺。

過酷な運命が待ち受けていた。

 

中盤位までの簡単なあらすじです。

ここからの展開は是非読んで楽しんでください。

感想/まとめ

シリーズを通してこの作品の評価が高いわけが、読めば分かります。

謎の男と良子の関係に珍しく青春物で攻めてきたと思いきや、後半に連れてミステリー色も強くなっていきます。

まだ相棒がいない御手洗さんに違和感を感じながらも推理は健在でしたね

二人の関係はここから始まったんですね。

 

最後の良子の手紙のシーンは号泣した。

壮絶な人生の中で人時の幸せ。最後に愛を知って逝けてことがほんとに良かった。

世界という無数の糸の中に紛れ込んだ良子の赤い糸がなければ、犯罪者になっていただろう。確実に私とつながっていた糸だが、それはあまりにも細く、私を救うために切れた。涙腺崩壊、ぼろぼろですよ。

この悲しみは、最初で最後の物語。

 

そして御手洗さんの

「これでようやく君の名をちゃんと呼べるわけだね、〇〇君」

 

 

まだコーヒー呑んでいた貴重なシーンが登場。

シリーズでささいな変化が見られるのはひとつの楽しみですよね。

 

御手洗さんが認めた天才益子は再登場するのかな?