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住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」を読んでみた 感想

今回紹介するのは住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」です。『君の膵臓をたべたい』の作者ですね。魅了されて人も多いのではないでしょうか。今回は「幸せとは何か」がテーマ。考えていきましょう。

最近文庫本が発売されたみたいです。この機会にぜひ読んでみてくださいね。

 また、同じ夢を見ていた

私、小柳奈ノ花は学校に友達がいない。頭がいいと自画自賛する私と周りの同級生とでは波長が合わない。そんな私を見るに見かねて職員室に呼び、ひとみ先生からありがたい助言をいただいた。気に掛けてくれるひとみ先生は大好きだ。さらに内緒で教えてくれた。明日からの国語の授業で「幸せとは何か」を考えるらしい。難しいけど考えなくては。

学校外では友達はいる。ひとり、、、いや一匹目は猫だ。怪我しているところを助けてあげて友達になった。これから向かう目的地へ並んで歩き、学校での出来事を話してあげた。

さて、見えてきました。クリーム色の二階建てアパートに住む女性・アバズレさんです。

挨拶をすると今日も優しく笑顔で迎えてくれます。学校のある日は大体遊びに来ます。

お話しを聞いてくれて、オセロで遊び、お菓子もくれます。頭がいいと褒めてくれます。

楽しい時間はあっという間、いつも4時ころにお別れします。次の友達へ会いに行くためです。

ちなみにアバズレさんのお仕事は「季節を売る仕事をしている」そうです。素敵なお仕事なんでしょうね。

 

2人目は、おばあちゃんです。おばあちゃんの手作りのお菓子がすごくおいしい。ついつい手が伸びてしまう。

おばあちゃんの幸せとは何か聞いてみると、やっぱり難しいらしい。考えておいてくれるらしいので、次来る日が楽しみだ。

 

おばあちゃんの見送りを背に家に帰る。仕事で忙しいお母さんだけどご飯は一緒だ。その後いつものようにお風呂に入って、いつものように寝る。これが私の一日だ。

 

ある日、アバズレさんとおばあちゃん二人とも留守で、探検がてらいつもと違う道を歩いていると不思議な建物を発見した。

その屋上で手首にカッターを押し当てていた高校生・南さんと出会う。手首からの出血が目に入り慌ててハンカチを絆創膏を差し出した。治療後、しばらくして話をしていると南さんは小説を書いていることを教えてくれた。すごく素敵なこと、是非読ませてほしいと強引に頼み込んだ。

学校後の行動範囲がアバズレさん、おばあちゃん、南さんの3つに増えた。

 

 

この後、両親との喧嘩、友人関係、過ち、数多くの問題が奈ノ花の前に立ちはだかる。その都度3人にアドバイスをもらいながら支えられ、学校課題の「幸せとは何か」の自分なりの答えを探っていく。

終盤、消えていく友達。何のために奈ノ花の前に現れ、消えていったのか。出会いには意味がある。その答えを知るのはもう少し先のこと。

 

そして、

 

また、同じ夢を見ていた。目を覚まし、私は動き出す。

 

感想/まとめ

小柳奈ノ花:主人公。小学生ながら大人びた言葉を使う。人生とは~のように例えるのが口癖になっている。授業参観に両親が仕事で来れないと知ると、なんでいつも約束破るのと両親と喧嘩するシーンに驚いた。

かまわないわの一言で済ますイメージを持っていたのでこの怒りには安心した。

言い回しや性格が災いしクラスに馴染めずにいたが、人とふれあうことの大切さを知り成長していく。

「幸せとは、自分が嬉しく感じたり楽しく感じたり、大切な人を大事にしたり、自分のことを大事にしたり、そういった行動や言葉を、自分の意思で選べることです」

これが彼女が出会い、別れを通して導き出した答え。

 

 

アバズレさん:表札に殴り書きされていたこの言葉を奈ノ花が呼び、定着した。奈ノ花のことはお譲ちゃんと呼ぶ。夜の仕事をしている。奈ノ花のことを頭がいいと褒めながらも、誰とも関わらないで生きていくことは駄目だとアドバイスを送る。出会いを運命や奇跡ではなく縁という言葉を使った。

彼女の幸せは

「幸せとは、誰かのことを真剣に考えられるということだ」

奈ノ花に出会い彼女もまた大切な事を思い出して満足そうに消えていった。

 

おばあちゃん:奈ノ花のことをなっちゃんと呼びおいしいお菓子と優しい口調でいつも迎えてくれる。友人が書いたと美しい絵を大切にしている。何もかも理解している感が漂っている。達観しているとも言える。

「わからないことをわかっていることが大事。逆にわかっていないのにわかっていると思い込んでるのが良くない」ありがたき言葉。

彼女の幸せは

「今、私は幸せだったって、言えるってことだ」

奈ノ花に「幸せとは何か」のヒントを残し消えていった。

 

南さん:屋上でリストカットをしようとしている場面で遭遇した高校生。

両親と喧嘩した奈ノ花に対して、自分から謝れと強く言い放つ。

自分の過去と重ね合わせて後悔させないようにしている。奈ノ花との出会いの目的を果たし、消えていった。

彼女の幸せは

「自分がここにいていいって、認められることだ」

 

人との出会い、つながりの大切さを教えてくれた小説でした。

どちらかといえば僕は人とのつながりを避けてきた人生を送ってきました。自分で選んだ道ですから後悔は、、、少しありますが、それなりに生活しています。枝のように無数に別れた道から選択しなかった世界はどうなっていただろうかと考えてしまいます。こういうお話しの後だと余計にね。

 

文章も読みやすく、幅広い年齢層におススメできます。

 

印象深い、好きな言い回しを紹介

南さん

「いいか、人生とは、自分で書いた物語だ」

「推敲と添削、自分次第で、ハッピーエンドに書きかえられる」

 

 

学校での発表シーン

「僕の絵を好きだって言ってくれる友達が、隣の席に座っていることです」

まったく人生とはオセロみたいなものですね。黒い嫌なことがあれば、白いよいこともある?そうじゃないわ。

たった一枚の白で、私の黒い気持ちは一気に裏返るのよ。