大崎梢さんの「配達あかずきん」を読んでみた
今回紹介するのは大崎梢さんの「配達あかずきん」です。大崎さんの作品では書店員が活躍するミステリー『成風堂書店事件メモ』シリーズが個人的には一番おススメです。
配達あかずきん
登場人物
木下杏子:24歳になる書店員。短大時代のバイトも本屋。就職先も本屋。本に囲まれた人生。
多絵:法学部に通う大学生。不器用な女子大生ながら、勘が鋭く、発想力も豊かで機転も利く。杏子の良き相棒である。
吉川博美:22歳、フリーター。短大卒業後、就職した会社が倒産し成風堂に転がりこむ。与えられた仕事をこつこつ素直にこなす。非常におっとりしていてマイペース。本人は一生懸命頑張っているがまわりがハラハラすることもたびたびある。
あらすじ
駅ビルの6階にある本屋、成風堂がお話しの舞台。杏子と多絵コンビが本にまつわるミステリーを解決していくストーリー。
パンダは囁く
奥さんに先立たれ、心配し、時々様子を見に顔を出している男性は、寝たきりのお年寄りに本を頼まれる。これがそのメモだと差し出した。
「あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに」
なんでもお客さんのお目当ての本を当てたとの話を聞いて杏子を訪ねてきたのだ。お客さんに懇願されては放り出すわけにもいかず、真剣に何度も考えて見るがさっぱり分からない。さらに、出版社は「パンダ」らしい。
店長は13からイメージして「ゴルゴ13」を紹介してしまうし、男性は、のんきに買って帰ってしまった。
困った杏子は、多絵に協力を求める。はたして頼まれていた本は何だったのか?
標野にて 君が袖振る
喜多川理沙という女性が「沢松」という名前の客について教えてほしいと来店してきた。「沢松」は理沙の母親で、連絡が取れなくなっていた。電話で、いつもの本屋さんで、おもしろい本をみつけたと言っていたことから成風堂に来たのだ。買った本を調べてみると婦人に珍しい「あさきゆめみし」という漫画。
20年前に事故で亡くなった息子(理沙からしたら弟)がいたがそのことが関係しているのか?「沢松」はどこにいったのか。そして、最後には驚きの結末が待っていた。
配達あかずきん
美容院「ノエル」は、今とんでもない苦境に立たされている。ノエルに来ていた常連客がパーマをかけている最中に手に取った雑誌に本人を盗撮した写真と、悪口が殴り書きがされていたのだ。怒った女性客は犯人を見つけ出せと!怒鳴り散らす。
直接は関係していなくても成風堂が配達した本も絡んでいる。「ノエル」の店長とめ面識がある杏子の気持ちは重い。
そんな時、配達途中だった吉川博美が駅の階段から落ちたとの連絡が入る。目撃者から事故ではない可能性がある?なぜ博美が狙われたのか?その真相は?
六冊目のメッセージ
河田菜穂子という女性が来店する。入院していた彼女は、成風堂の店員さんが選んだ本のおかげで病院暮らしが退屈せず過ごせたことに感謝し、お礼をしたくて訪ねてきたのだ。
詳しく聞いてみると『宇の旅』『散策ひと里の花』『ダヤンのスケッチ教室』『民子』『夏への扉』の5冊であった。しかし、このチョイスを選び取れる男性は成風堂にはいない。
選んでくれた男性とは果たして誰なのか?
ディスプレイ・リプレイ
出版社の販促活動のひとつであるディスプレイコンテストを成風堂でも参加することになった。興味を示したバイト大学生の角倉夕紀、友人の渡辺紗弥加、佐野佳彦の三人を中心に作業を進めていく。
人気漫画の特設台が完成した。出来栄えは素晴らしいものになった。評判もよく、売上げアップにも繋がるほどに貢献している。
しかし後日、特設台に飾ってある品品が黒いスプレーでめちゃくちゃにされてしまう事件が起きてしまう。
一方人気漫画にも盗作疑惑が持ち上がっていて、、、どうなる成風堂。
感想/まとめ
大崎梢さんの「配達あかずきん」いかがだったでしょうか?本好き、本屋さん関係の人にはたまらない小説だったのではないでしょうか。本屋さんの仕事内容も詳しく知ることが出来たのでとても楽しめました。
さて内容はというと、杏子と多絵コンビが本にまつわる謎を解決していくお話し。この二人のバランスがたまらなくいい。基本は杏子さんに謎が集まり多絵ちゃんが解決するパターン。適材適所の言葉がぴったり当てはまりますね。
成績優秀な多絵が医学部を断念した唯一の理由、それは、「お前には人間の腹は縫えない」という同級生の強烈の一言だ。
そうとう不器用な 多絵ちゃん。またお気入りのキャラが増えました!
成風堂のみなさんも個性あふれる方ばかりなので注目してくださいね。
短編集なので好みが人それぞれ好みがあると思いますが、僕は6冊目のメッセージが一番好きですね。夏への扉でビクッと身体が反応してしまった。選ばれた本の共通点は多絵ちゃんの推理を聞くまで分からなかったのですが、僕が一つ選ぶとしたら赤川次郎さんのあの作品をおススメしますね!
続編もあるのでそちらも是非読みたいと思います。意気込んで読むよりライトの気持ちで読んでほしいですね。
女性二人が主人公ポジションの小説なのでこの二人を思い出しました。