~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

若竹七海さんの「ぼくのミステリな日常」を読んでみた

今回紹介するのは若竹七海さんの「ぼくのミステリな日常」です。若竹さんのデビュー作で連作短編集となっております。1991年初版なので古さという抵抗が若干あったのですが楽しんで読むことができました。

f:id:lbookneet:20171104140033j:plain

ぼくのミステリな日常

あらすじ

建設コンサルタント会社で働く若竹七海は社内報の製作担当に指名された。学生時代の経験、社内も協力的で順調にまとまりつつある社内報だが、一つ難題があった。小説を載せてみろ、というのです。困った若竹は先輩である佐竹に協力を願い出る。佐竹自身は、断りを入れるが小説書きの友人を紹介してもらえることになった。作者の身分、名前その他を一切伏せてもらえるなら短編小説を毎月送ることができる、匿名希望が条件とのこと。若竹は、条件を呑み一年間限定の連載が始まる!

4月「桜嫌い」

大学の先輩、足羽藤子に誘われて花見にきていた。そこで藤子は自身が住むアパートで起こった火事騒ぎを話す。

5月「鬼」

療養のため仕事を辞めたぼく。ある日、写真を撮りに出かけた僕は一人の女性と出会う。なんでもその女性はとらべに恨みがあるらしく、、、

6月「あっという間」

中学時代の友人寒河鷹春から野球で使われるサインが敵チームに漏れていると相談を受ける。犯人の目星はついているが、方法が分からない。その方法とは?

7月「箱の虫」

今日は従兄弟の夏見の誕生日。高校の時に箱根旅行をしたときのとんでもない失敗談を聞かされる。

8月「消滅する希望」

友人の滝沢はノイローゼ。毎年夏になると朝顔の女が夢に出てくることが原因らしい。朝顔の女の正体とは!

9月「吉祥果夢」

高野山で出会った女性、岸本和子。彼女はとある不思議な体験について話をしてくれた。

10月「ラビット・ダンス・イン・オータム」

先輩の円山さんが勤める会社でアルバイトをすることになったぼく。ある日、取引先の部長さんの娘の名前を当てることが広告を定価でしてくれる、当たらなかったら無料で広告を掲載すると賭けをしてきた円山さん。はたして娘さんの名前とは?

11月「写し絵の景色」

大学の先輩、松谷弓子が泥棒として疑われている。担当している先生の版画『深海の景色』が盗まれたのだ。状況が彼女を犯人だと示している。版画はどこに消えたのか!

12月「内気なクリスマス・ケーキ」

12年前の新居の話。隣人酒井優介は、新居の姉、由紀子を好んでいるらしい。イブの日、優介が焼いたクリスマスケーキを食べた由紀子は体調を崩し、救急車で運ばれた。妊娠中だったが大事には至らず母子ともに健康で一安心。後から聞いた話によるとシクラメンを入れていたとのこと。シクラメンには流産するという迷信があり、、、

1月「お正月探偵」

 買い物強迫症になってしまった友人、坊野章吾からの電話から始まる。朝目が覚めると部屋の中に、みたこともないようなものがあふれている。それに買い物をしている記憶がまったくない。尾行して確かめてほしいと相談を受ける。

2月「バレンタイン・バレンタイン」

前に家庭教師をしていた女の子達からの電話。バレンタインの季節。チョコレート売り場での不思議な女性の話を聞かされる。

3月「吉凶春神籤」

ベンチに座り本を読んでいると大学のゼミで一緒だった芳野道子に声を掛けられた。彼女は変わっていた。相手の男に合わせて変わったが昨日嫌われてしまったとのこと。

 

そして、ちょっと長めの編集後記へ

 

感想/まとめ

若竹さんのデビュー作「ぼくのミステリな日常」を読んでみました。短編集12のお話から構成されるため好き嫌いの波があるのは仕方がないのですがそれをまとめるちょっと長めの編集後記での推理、そして真相は度肝うを抜かれました。

あの結末はどう捉えていいのか悩みます。何とも言えない読後感が押し寄せてきて復活するまで少し時間がかかりました。

 

個人的には9月「吉祥果夢」10月「ラビット・ダンス・イン・オータム」12月「内気なクリスマス・ケーキ」2月「バレンタイン・バレンタイン」3月「吉凶春神籤」が好みのお話しでした。

逆に5月「鬼」8月「消滅する希望」1月「お正月探偵」が苦手でした。率直に怖く後味が悪いのでマイナスです。

 

よく見ると社内報に小説以外にも気になる記事があり読んでみたくなりました。細かい所まで小技を仕込んでいるのもポイントですね。

 

僕自身も若竹さんの作品はこれが初めてなので他作品も読んでみます。