自殺者の命を救う! 高野和明さんの「幽霊人命救助隊」
今回紹介するのは高野和明さんの「幽霊人命救助隊」です。自殺をテーマとしての扱っていますが、あまり重い感じがしません。笑いあり、涙あり、しっかりと楽しめる本作品であります。
幽霊人命救助隊
登場人物
高岡裕一ーー首つり自殺。浪人生
市岡春男ーー服毒自殺。気弱そうな中年男
八木剛造ーー短銃自殺。ヤクザ
安西美晴ーー飛び降り自殺。家事手伝い
あらすじ
首つり自殺をした裕一は崖を登っていた。頂上に到着すると三人の男女と出会う。お互い自己紹介をした後、しばらくすると神様がスカイダイビングで降りてきた。ここは地上と天国の中間点。バカな死に方をしたため天国に行きそびれてしまったのだと、怒られてしまう。それでも神はチャンスを与えてくれる。粗末にした命の償いとして地上に降り、百人の自殺志願者の命を救うことができれば、天国へ行くことができる。
死ぬ気があれば何でもできる!相手が誰であろう、どんな事情でも、遠慮なくやれ!死のうとする奴らを片っ端から助けろ!
神様からありがたい激励を受け四人は地上へ旅立つのである。
救助隊
蛍光色のオレンジ色のジャンプスーツに、黒い編み上げブーツ。腰に巻かれた作業ベルトには、五つの道具袋が装着されている。おそろいのユニホームの背中には『RESCUE』と書いてある。
装備品はロープ、通信用ヘッド、地図や筆記具、システム手帳にメガホン。
彼らは生きている人々には触ることができない。(幽霊なので当たり前だが)
死のうとしている人たちが踏みとどまるようにメガホンで応援したり、救助者に重なるように入ることで心が読めるようになる。
感想/まとめ
孤独感、病気、鬱、無理心中、いじめ、離婚、依存、借金等様々なタイプの自殺者が登場します。四人があたふたしながら自殺させないように持っていく頑張る姿は見ていて楽しいですし暗いイメージを上手く払拭してくれました。
人それぞれ悩みが違うので解決方法も違う。勉強になる点も多い。
四人それぞれ死んだ時代が違うので世代間、時代間のギャップがまた面白い。今では使われない言葉、懐かしい言葉もたびたび出てきます。
最後の一人は、裕一の父。ありがちな展開ですが和解できて良かった。泣けます。救助対象者を救っていたつもりが、逆に自分たちが救われていた。この世に生きる人たちの力で、天国へ旅立つことができる。いいね。
エピローグの演出は神様からのプレゼントかな。
高野さんの作品は「6時間後に君は死ぬ」に続いて二作品目ですが好きな作家さんになりました。次もまた紹介しますね。