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七海学園シリーズ 七河迦南さんの「七つの海を照らす星」

今回紹介するのは七河迦南さんの「七つの海を照らす星」です。児童養護施設「七海学園」を舞台としたミステリー。学園に伝わる七不思議が主題の連作短編集になっています。一話一話に仕掛けが組み込まれており最終話での真相はきっと驚くこと間違いない。それではお楽しみください。

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 七つの海を照らす星

登場人物

  • 北沢春菜ーー二四歳。職業保育士
  • 野中佳音ーー春菜の大学時代の友人
  • 河合恵美子ーー二四歳。春菜と同い年だが短大卒業後就職のため先輩保育士
  • 大隈ーー四十代半ばのベテラン女性保育士
  • 葉子ーー星が好き
  • 裕美ーー中二
  • 亜紀ーーおしゃべり大好き、学園一の情報通
  • 浅田優姫ーー高三、一八歳。今年高校卒業。古風な瓜実顔に控えめな性格
  • 塔ノ沢加奈子ーー高三。面倒見がいい。穏和でまじめ。すらりと背が高く、セミロングに理知的な感じの銀縁メガネが似合う
  • 沙羅ーー中一。ウランとは仲良しだが、勤とは犬猿の仲
  • 健人ーー沙羅の弟
  • 安藤勤ーー中一。あだ名がアトム。二卵性双生児
  • 安藤藍ーー中一。あだ名がウラン。二卵性双生児
  • 勝弘ーー中一。おしゃべり大好き、男版亜紀
  • 俊樹ーー卒園生。美香と結婚
  • 美香ーー卒園生。俊樹と結婚
  • 河崎明ーー学園の人気者
  • 舞ーー小六。気弱な性格
  • 海王さんーー恰幅のいい中年男性。聞き上手のため話しやすい

第一話 今は亡き星の光も

おととし隣県の児童養護施設から措置変更されてきた葉子は学園のルールを守らず職員を困らせている。春菜もその一人であるが園長に葉子のことを頼まれたため寄り添う決意をする。おしゃべり大好き学園一情報通亜紀の情報によると、以前いた施設の先輩に取りつかれているらしいとのこと。葉子も否定しない。悩んだ春菜は海王さんに相談することに。

第二話 滅びの指輪

今年卒業する浅田優姫には戸籍がない。六年ほど前、万引きをした少女が捕まった。髪はぼさぼさ、身体はあちこち傷だらけで見るからに怪しい。何か事情があると思い聞いてみると、母親の引きずり込んだ男から襲われそうになり家を飛び足してホームレス状態で生きていたのだ。その後七海学園に移されることになった。

現在は生活態度も問題なく暮らしている。専門学校への進学を希望しているが金銭面が厳しい。バイトもしているが明らかに足りない。そんな彼女が大金を持っていることを知った春菜は不安になる。海王さんに相談することに。

第三話 血文字の短冊

春菜の大学時代の友人野中佳音が登場。可愛い。

春菜が最近会った出来事を語りだす。子供を預けたまま、ほとんど面会にも来ない親も少ない中で、沙羅、健人の父親は都合の付く日は自宅に連れて行って一緒に過ごすようにしている。そんな父親に再婚を考える女性がいるらしい。沙羅はあまり賛成ではない様子。自宅で過ごしていた週末、父親が電話で「私は沙羅が嫌いだ」話していたのを聞いてしまう。

第四話 夏期転佳

春菜は卒園生(俊樹、美香)の相談事について佳音に話し始めた。小学五年生の俊樹は学園の子たちと自然の中で過ごす「夏期転佳」と呼ばれる行事に参加していた。そこで俊樹は小松崎直という少女に出会う。歳も近いせいか遊ぶようになる。

直を連れ戻そうとする男が現れる。俊樹が男を押さえている間、直は逃げる。なぜか逃げ道がない非常階段を上り、それっきり直は消えてしまったのである。

事情を説明するも先生、食堂のおばさんも皆そんな子はここにはいないと直の存在を否定するのである。いったいどこに消えてしまったのか。

第五話 裏庭

加奈子が裏門から入ってくる少女を見かける。それを聞いた亜紀は懲りずに七不思議の一つ「開かずの門の浮姫」の話を持ち出す。くわしく状況説明していた加奈子と亜紀だったが用事が出来たため一旦ここで中断となる。

七海学園の男子が他学園の女子と密かに付き合っているのが発覚する。このことが原因で児童養護施設の交流イベントが中止になる可能性が挙がるようになる。

第六話 暗闇の天使

春菜は小学校近くのトンネルで起きたホラーな伝説ついて佳音に話し始めた。女の子六人で通ってはいけないトンネルがある。小学生の間では女の子六人でトンネルを通ると暗闇からいないはずの七人目の女の子の声が囁きかける、という感じで伝えられている。

ある日トンネルで地震が起き、一番泣き虫の舞が取り残されてしまう。心配で一目散に駆けつけた春菜だったが平然としていたので驚いた。天使の声を聞いたと話してくれた。それだけではなく後日天使の姿もトンネルで見たらしい。彼女が嘘を言っているようにも見えない。

春菜は真相解明に乗り出すことに。

第七話 七つの海を照らす星

 以前から話題にしていた海王さんを佳音に紹介することに。この半年の出来事を三人で振り返りすべての謎が明かされる話である。

感想/まとめ

第一八回鮎川哲也賞受賞作品。

児童養護施設「七海学園」を舞台とした日常ミステリー。学園に伝わる七不思議が主題の連作短編集になっています。日常ミステリーとは言っても児童養護施設が舞台となっておりあまり馴染みがありません。様々な事情から、家庭で生活できない子供たちの暮らしを丁寧に描かれています。集団生活の難しさ、施設という偏見、法律の縛り、現実の厳しさや悲しさも知ることができる。

ただそれを感じさせない面白さがある。一人ひとりの事情は決して軽くないものばかりですが学園七不思議と称させる謎を加えることによりなぜか安心する。

料理で例えるとまろやかさを出してくれている感じ。

 

最終話で全体に施された仕掛けが明らかになる展開は大好きなので期待していたのですが裏切られずに読み終え、この本に出会えて幸せな気分になりました。

明日への希望がテーマなのかな。突然だけどコードギアスを思い出した。

 

おなじみ登場人物の多さには参りました。一応メモを残しておいたのですが間違っていたら申し訳ない。こればっかりは仕方がないとあきらめてます。

 

さいごに、、、佳音ちゃんかわいい