~読んできた本の足跡~

~のんびりまったり日々読書~アニメや雑談も~

完全復刊された 泡坂妻夫さんの「湖底のまつり」

今回紹介するのは泡坂妻夫さんの「湖底のまつり」です。以前から気になっていた作品の一つで今回完全復刊されたと聞いて見つけてきました。登場人物が少なく人を覚えるのが苦手な僕としてはありがたい。古い作品ではありますが今読んでも全然いけますので是非おススメです。

f:id:lbookneet:20171013130334j:plain

 湖底のまつり

登場人物

  • 香島紀子ーー千字村を訪ねた女性
  • 埴田晃二ーー千字村出身の若者
  • 藤舎緋紗江ーーダム工事の測量士補
  • 金海芳男ーー晃二の友人
  • パーゾウーー千字村の住人
  • 深沢源吉ーーダム反対運動の指導者
  • 荻粧子ーー千字荘の投宿者
  • 館崎刑事ーー捜査員

 あらすじ

第一章 紀子

都会での生活に疲れ、傷ついた心を癒すために旅行に出かけた紀子。散歩中滞在している山間の村で川の増水に巻き込まれてしまう。間一髪のところで埴田晃二という名の男に助けられます。その夜ふたりは結ばれるが、翌朝目を覚ますと晃二が消えていたのだ。晃二を探しに地元の祭りをのぞきに行くと、そこで晃二はひと月前に殺されたと聞かされます。

 

第二章 晃二

川の増水に巻き込まれた女性を助けることに。女性の名は藤舎緋紗江。自然な流れでその夜ふたりは結ばれる。ここまで紀子と展開が全く同じなので僕たち読者は何なのか混乱すると思います。

運命的な出会いをした晃二と緋紗江は結婚をすることに。公私共々すべてが順調に進んでいたがある出会いが晃二の人生を狂わしてしまいます。

自慢のスポーツカーにある女性を乗せます。これが原因で晃二は死ぬことになる。

この女性は誰なのか?

 

第三章 粧子

晃二の捜査が始まります。聞き込みの結果、スポーツカーに乗せた女性の名が萩粧子だということが分かり粧子の自宅を訪ねます。そこで発見した日記にはPとの関係が書き綴られていました。

Pとはいったいだれのことを指すのか?

 

第四章 緋紗江

すべての謎が明らかになります。是非自分自身で確かめてください。

 

感想

「完全復刊」「最高のミステリ作家が命を削って書き上げた最高の作品」との綾辻さんの言葉が目にとまり読みました。

序盤にも言いましたが登場人物が少ない。その中でこれだけの伏線を用い物語を作り出した力量に参りました。

また、文章力に大変魅力を感じ奥底に引き込まれる。風景描写、幻想的な言葉、特に官能的部分がぐっときました。まさかミステリ小説で別の意味のドキドキを感じるなんてす。真相やトリックそっちのけで没頭してしまいましたよ。

真相やトリックは今なら見当ついてしまうかもしれません。それでも評価の声が強いのは他部分に魅力が詰まっているためでしょうね。